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ヒラメキ! マンション管理

福岡市在住のマンション管理士:北口秀樹のブログへようこそ

管理組合が備えるべき3つの名簿

個人情報保護

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 2015年9月に公布された改正個人情報保護法によれば、個人情報保護法の規制対象となる「個人情報取扱事業者」に個人情報を扱う数が少ない小規模事業者が含まれることになっています。そして、その小規模事業者にマンション管理組合も含まれることになります。

 

 改正個人情報保護法は、公布から2年以内に施行されることになっていますが、具体的に管理組合にどのような対応が必要なのかは、個人情報保護委員会からガイドラインから発表されることになっています。

 今後、管理組合における個人情報の管理については、法律の規制がかかってくるので注意が必要ですが、今回はまず、管理組合に備えるべき3つの名簿についてまとめたいと思います。

 

1.区分所有者名簿(=組合員名簿)

 まず、区分所有者とは何者かという、マンショ管理の原点のような話しですが、意外にこの区分所有者を説明するのはややこしいのです。

 普通、マンションといえば、1つの建物の中にいくつかの部屋があるというイメージになると思います。その部屋のことを法律的に「専有部分」というのですが、その専有部分を所有する権利が「区分所有権」であり、その区分所有権を持つ者が「区分所有者」となります。

 なんだかややこしいですが、簡単にいえば

『区分所有者とは、マンションにおいて専有部分(お部屋)を所有する者である』といことになります。

 さらにややこしくするのが、マンション管理の中で使われることが多い「組合員」という言葉ですが、あまり深く考えずに、ここでは組合員=区分所有者としておいて下さい。

 よって、区分所有者名簿=組合員名簿 です。

 そういえば、昔・・・管理組合の総会で規約改正を提案したことがありました。規約の中に区分所有者と組合員という言葉が混在していたので、「どこがどう違うの?」という質問がありました。「同じようなものです」と安直に返答したところ、「ではなぜ、統一しないの?」と突っ込まれたりしたことを思い出します・・・。

(実際、マンション標準管理規約の第1章~第5章までは「区分所有者」という言葉が使われ、第6章からは「組合員」という言葉が使われています。)

 前置きが長くなりましたが、区分所有者名簿は必ず必要です。

なぜなら、管理組合は通常総会というものを、年に1回必ず開催しなければならず、その案内を送付するときに名簿が必要だからです。また、区分所有者は建物の共用部分を維持するための費用を負担しなければならず、その費用を徴収するときも名簿が必要になります。

 

2.居住者名簿

 居住者というのは、文字どおり、お部屋に居住している人になりますが、それが区分所有者だけとは限りません。区分所有者と一緒に住んでいる家族や、区分所有者からお部屋を借りている人やその家族も居住者です。

 つまり、居住者名簿というのは、その専有部分に住んでいるすべての人が対象となるものです。

 この名簿は、火災や地震が起きたときには、住民の安否確認に使うなど防災の観点から重要なものになります。

 

3.避難行動要支援者名簿(災害時配慮者名簿)

 これまでの「区分所有者名簿」と「居住者名簿」については馴染みがある名簿だと思いますが、ここから紹介する「避難行動要支援者名簿」は最近その必要性がクローズアップされてきた名簿です。ちょっと長くなるかもしれませんが、気長に読んでみて下さい。

3-1 災害対策基本法の改正

 火災や地震が発生した場合に、1人で行動するのが難しい高齢者や障がい者など、助けが必要な住民を事前把握しておき、いざというときのために準備しておく名簿が「避難行動要支援者名簿」です。「要配慮者名簿」や「災害時要配慮者名簿」と呼ばれることもあります。

 もともと「避難行動要支援者名簿」というのは、2013年6月の災害対策基本法の改正により、自治体にその作成が義務付けされたものです。(災害対策基本法第49条の10)

 2011年3月の東日本大震災では、自治体が保有している障がい者や要介護者などのリストを活用しての安否確認や被災者支援を行った例がほとんどなかったといいます。

 もしこのときに、被災地を支援しようとする人達に対し、支援を必要とする障がい者や要介護者の個人情報が適切に提供されていたら、より早く支援体制が整っていたのではないかという反省から改正されたものでした。

3-2 「避難行動要支援者名簿」情報の提供

 改正災害対策基本法は、自治体の「避難行動要支援者名簿」の作成義務だけでなく、「災害の発生に備え、避難支援等の実施に必要な限度で、地域防災計画の定めるところにより、避難支援等関係者に対し「避難行動要支援者名簿」情報を提供するものとする」と規定しました。(同法49条の11第2項)

 これは、地域防災計画に定めていれば、あらかじめ、「避難行動要支援者名簿」を避難支援等関係者に提供するということです。

 なお、避難支援等関係者には、消防機関、都道府県警察、民生委員、市町村社会福祉協議会、自主防災組織その他の避難支援等の実施に携わる関係者と例示されています。

3-3 マンション管理組合における「避難行動要支援者名簿」

 改正災害対策基本法では、避難支援等関係者にマンション管理組合は例示されていませんが、地域防災計画に明記されることにより避難支援等関係者として、自治体が保有する避難行動要支援者名簿の提供を受けることが考えられます。

 また、総務省はマンション管理組合を「自主防災組織」として積極的に位置付けることが、都市コミュニティの再構築や、災害対策に有効であるとの通知を発信しました。(2015年5月総務省自治行政局住民制度課)これにより、マンション管理組合が自主防災組織として地域防災計画に明記されることにより避難支援等関係者として、要支援者名簿の提供を受けることも考えられます。

 したがって、まずはお住いの自治体の地域防災計画に、マンション管理組合が明記されているかどうかを確認する必要があります。明記されていれば、避難行動要支援者名簿を受領して、災害時の安否確認、避難誘導に利用できることになります。

 地域防災計画に管理組合が明記されていなければ、管理組合で情報を集めて独自に「避難行動要支援者名簿」を作成するほかはないでしょう。

※現状、自治体の地域防災計画の多くは、マンション管理組合を名簿の受領者として明記してないようです。

4.最後に

 今回、管理組合が備える名簿として「区分所有者名簿」「居住者名簿」「避難行動要支援者名簿」の作成についてご紹介しました。各名簿を作成したあとは、次はその保管方法と運用方法が問題になります。次回、改めてまとめてみたいと思います。