マンション管理研究所 ウォームハート

あなたのマンションの管理業務はその費用に見合った内容で適正に実施されていますか? 当ブログはマンション管理のセカンド・オピニオン”マンション管理士”の活用を推進するブログです。福岡市西区在住マンション管理士が”Warm Heart”なマンション管理をご提案します。

迷子にしないためのペットの防災

 

f:id:deepseacruise:20170809105725j:plain

今年は夏は例年以上の大雨で、毎日のように日本の各所で避難勧告や避難指示が出されています。地震も多い日本では、やはり防災についてしっかり考えておく必要があります。マンション管理組合でも、標準管理規約には防災に関する業務が管理組合の業務として規定(標準管理規約32条12号)されていますが、今回は直接、管理組合の業務に関係しませんが、ペットに関する防災について考えてみようと思います。

 

1.飼い主の心得

地震、水災等の災害が発生した場合、マンションで一緒に住むペットたちも被災してしまいます。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、住民が津波原発事故で緊急避難(ペットを自宅に残して避難)を余儀なくされ、大切なペットと離れ離れとなった事例が多く発生しました。

また、2016年4月に発生した熊本地震では、ペットと同行避難*しても、鳴き声や臭い、動物アレルギーなどの問題から、避難所へ一緒に入れず、車中泊を余儀なくされる事例も発生しています。

大切な家族の一員であるペットと一緒に、災害時の困難を乗り切るためには、飼い主自身が日頃から備えておくことが重要です。

 *同行避難とは?

災害時に飼い主がペットと一緒に避難所まで安全に避難し、避難所に着いてからは、人とペットはそれぞれ決められた場所で別々で避難生活を行うことをいいます。

 

2.災害時の飼い主の役割

(1)同行避難の実行

過去の災害においては、ペットが飼い主と離れ離れになってしまう事例が多数発生しましたが、このような動物を保護することは、多大な労力と時間を要するだけでなく、その間にペットが 負傷したり衰弱・死亡するおそれがあります。

また、不妊去勢処置がなされていない場合、繁殖により増加することで、住民の安全や公衆衛生上の環境が悪化することも懸念されます。

このような事態を防ぐために、災害時に同行避難を行うことは、動物愛護の観点のみならず、放浪動物による人への危害防止や生活環境保全の観点から必要なことです。

(2)避難所での飼育

災害が起こった時に飼い主は、ペットと同行避難することを基本とし、平常時から、それに備えるべき対策についての意識をもち、ペットの安全と健康を守るとともに、他の避難者への迷惑にならないように努める必要があります。

避難所でのペットの存在が、他の避難者にとってストレスやトラブルの原因となるかどうかは、飼い主自身の意識と平常時からの備えによるところが大きく、動物が苦手な人・アレルギーを持っている人への特別の配慮が求められます。

また、通常の環境とは大きく異なる避難生活はペットにとっても大きなストレスとなる可能性があります。平常時に、ペットの避難に必要な用具等を準備しておくことや、日常の健康管理やしつけをしっかりしておくことで、そのストレスを軽減させること可能です。

 

3.平常時の備え

(1)家庭の防災対策

災害時にペットを守るためには、まず飼い主が無事でいることが重要です。そのためには、家具の固定など家庭の地震対策を行う必要があります。ペットが普段いる場所にも配慮することで、ペットの安全にもつながります。

(2)健康管理

避難所では他の避難者と共同生活することになり、飼い主と同様、ペットもストレスが大きくなって体調を崩しやすくなります。普段から、健康状態に注意し、ブラッシングして抜け毛をとるなど、動物の体を清潔に保っておきましょう。

(3)しつけ

むやみに吠えない・ケージに慣れさせておく等、基本的なしつけをしておきましょう。避難している周りの人にとっても、ペットにとってもストレスを少なくすることにつながります。また、ケージに慣れさせておけば、日常生活でも留守番や来客の際、車での移動時などに役立ちます。

(4)所有者明示

災害時の混乱状況によっては、ペットと離れ離れになることがあります。保護されたとき、すぐに飼い主が分かるように、日頃から首輪やマイクロチップなどの身元証明をつけておきましょう。

(5)ペット用の避難用具や備蓄品の準備

避難所では、人に対する準備はされていますが、ペットに対する準備は基本的に飼い主の責任です。また、救援物資が届くまでには時間がかかりますので、当面の間必要な物資を用意して、すぐに持ち出せるようにしておきましょう。

マンションの場合、共用部に収納場所の余裕があれば、備蓄品を置くことも検討してみてもいいでしょう。

(6)避難所や避難ルートの確認

飼い主は、避難指示等が出た場合に備え、住んでいる地域の防災計画や自治体の広報誌・ホームページ等で災害時の避難所の所在地や 避難ルートを確認しておく必要があります。

マンション管理組合ペットクラブがあるのであれば、その活動として、マンションから避難場所や避難所への避難訓練を実施することをおすすめします。

避難訓練をする場合は、エレベーターを使わずに階段を使ってペットを移動できるか・避難場所へはどれくらいの時間がかかるかなどもポイントです。

 

4.災害発生時の行動

(1)人とペットの身の安全

無事でなければ避難場所に移動することができません。身の安全を最優先に行動しましょう。

災害発生時に外出しているなどペットと離れた場所にいた場合は、自分自身の被災状況、周囲の状況、自宅までの距離、避難指示等を考えて、飼い主自身がペットを避難させることが可能かどうか慎重な判断が必要になります。

やむを得ずペットと一緒に避難できず、自宅等に置いてきた場合や、避難中にペットとはぐれた場合には、ペットについての情報や避難時のペットの状況について、自治体窓口や警察等に相談してください。  

(2)落ち着いた同行避難の実行

災害時には、人もペットもパニック状態になります。特に興奮しているペットに不用意に近づくと咬まれたり、いつもと違う行動をとることがあります。まずは飼い主が落ち着いて、リードをつけたりキャリーバッグやケージに入れてペットを落ち着かせましょう。そのためにも普段の「しつけ」が重要となります。

 

5.それでもペットが迷子になったら

※以下は平常時の問い合わせ方法になります。災害発生時は、自治体も警察も相当な混乱が予想されるので、スムーズに問い合わせできないことを念頭においてください。

(1)お住いの都道府県等の自治体窓口への問い合わせ

以前は動物を拾ったら交番に届けると決まっていましたが、平成19年の遺失物法の改正により、飼い主の分からない犬と猫に限っては、都道府県等の自治体の窓口*でも受け付けることができるようになりました。よって拾った方が自治体に届け出をしているかもしれません。

*都道府県等の自治体の窓口について

自治体の窓口は、役所そのものであったり、保健所であったり、動物愛護センター(名称は地域によって変わります)であったりしますので、地域ごとに確認が必要です。

☆福岡市の場合は下記の組織へ

わんにゃんよかネット|福岡市動物愛護管理センター

 

(2)最寄りの交番又は警察署への問い合わせ

上記のとおり、遺失物法の改正により、飼い主不明の犬・猫の届け出先は自治体でも可能となりましたが、実務上、従来どおり警察が届出の窓口になっている地域もあるようなので、念のため最寄りの交番・警察署にも問い合わせしたほうが良いかもしれません。

 

6.参考:「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正

平成24年9月改正のポイント(平成25年9月施行)

(1)終生飼養の徹底

動物の所有者の責務として、飼養する動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)が明記されました。

(2)犬猫の引取りの拒否

都道府県・政令指定都市中核市は犬猫等販売業者からの引取りや,繰り返しての引 取り、老齢や病気を理由とした引取りなど,終生飼養の原則に反する犬猫の引取りを拒否できることとなりまし た。

(3)動物取扱業の規制の強化

従来の「動物取扱業」は「第一種動物取扱業」に名称変更し、より適正な動物の取り扱いを推進するため規制が強化されました。

販売動物の現物確認、対面説明の義務付け動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を販売する場合、購入者にその動物を直接確認してもらうとともに、対面で動物の特徴や飼育方法について説明しなければなりません。

幼齢な犬猫の販売の禁止生後56日以内の犬猫の販売が禁止されます。(ただし,平成28年8月31日までは生後45日以内、それ以降は法律で定めるまでの間は生後49日以内)

(4)第二種動物取扱業の新設

動物を飼養する施設を持ち、非営利で一定数以上の動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)を取り扱う(譲渡・展示等)場合は、第二種動物取扱業として都道府県・政令指定都市への届出が必要となります。動物愛護団体の動物シェルターや非営利での動物の展示などが該当します。

(5)罰則の強化

愛護動物のみだりな殺傷  2年以下の懲役又は200万円以下の罰金

愛護動物のみだりな虐待や遺棄  100万円以下の罰金

 

☆詳しくは環境省のホームページでご確認ください。

環境省_動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年9月5日法律第79号) [動物の愛護と適切な管理]

 

参考資料

環境省:災害時におけるペットの救護対象ガイドライン

福岡県庁・福岡市役所ホームページ