マンション管理研究所 ウォームハート

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マンションに住むペットの事情いろいろ

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マンションにおけるペット飼育は、今も昔も、住民間のトラブルを引き起こす最も大きな原因のひとつです。そんな古くて新しいペット問題について取り上げてみたいと思います。

ちなみに私は猫派です。ペットを飼ったことはありませんが・・・

正確にいうと、小学生のころ、夏祭りの夜店でカラーひよこを買ってもらって、3日後に死なせてしまって以来、生き物を飼ったことがありません・・・

そんなトラウマがある私がペットのことを書いていいのでしょうか???

1.一代限りのペット飼育

ペット問題は難しい。それは人間の感情と生命が絡み合うからです。

いくら管理規約にペット飼育禁止が謳われていても、いちど飼い始めたペットと人間を引き離すのは難しいものです。

だから「一代限りのペット飼育を認める」などという、これまで良く行われてきた解決策にならざるを得ません。

そしてその解決策は事実上、問題の棚上げにすぎないものなので、数年後、問題が再発します。

「一代限りの飼育を認めて10年たつのに、ペットがいっこうに減っていません。」

「当時、ペットを飼っていた人のみ一代限りが認められるのは不公平だと言って、隠れてペットを飼っている住民がいます。」

「一代限りになっていますが、ペットロスで認知症になる可能性があるので、特別にペットを飼わせてください。」

などと意見が出され、再度、管理組合でアンケートを取ったり、総会で話し合ったりすることになるのです。

 

なぜ、一代限りのペット飼育が解決策にならないのか?

それは、ただ単に「一代限りのペット飼育」を総会で決めた だけ だからです。

決めた後、誰がその解決策をフォローしましたか?

管理会社がペットの管理をするのですか?

管理会社がするのなら管理委託契約書にその一文が書いてなければなりませんが、管理委託契約はどうなっているか知っていますか?・・・

 

ペットの管理をする管理会社があってもおかしくないと思いますが、ほとんどのマンション管理会社はそんなサービス(ペットの管理)はいたしません。

総会で何かを決めた後、それを実行するのは管理組合なのです。

この場合、管理組合はペット飼育者の名簿を作って、一代限りの誓約書をとって、毎年毎年、飼育状況を管理組合に報告させなければなりません。

1年ごとに役員が交代するのなら、きちんと引き継ぎ表を作って次期理事会に申し送りするか、そのようなペットに関する業務を継続して行えるように、「一代限りのペット飼育委員会」などを理事会の下部組織として立ち上げて、管理が途切れることがないよう工夫しなければなりません。

「マンション管理の主体は管理組合である。」とは、マンション管理の実務書・解説書の最初に必ず出てくる表現です。国交省の「マンションの管理の適正化に関する指針」にも出てきます。マンション管理とは手間がかかるものなのです。

 

【DATA】平成25年マンション総合調査

 犬、猫等ペット飼育のルール(単位は%、年は完成年度)

   禁止  限定して認める  全面的に認める  規則はない  不明
全体 47.4   42.5   2.9  5.0 2.2
昭和60年~平成6年 65.1   23.6   1.5  8.0 1.8
~平成11年 61.1   28.2   2.4  6.3 2.1
~平成16年 27.2   65.3   3.9  1.5 2.1
~平成21年 5.3   85.4   5.7  0.8 2.8
平成22年以降 2.1   93.8   2.1  1.0 1.0

*全体では、飼育禁止が47.4%飼育可能(限定+全面)45.4%

*完成年別では、平成11年までの完成マンションは飼育禁止が6割を超えていたが、平成12年以降の完成マンションでは逆転し、飼育可能が6割を超えている。平成22年以降の完成マンションでは飼育可能が9割を超えている。

 

2.ペットロスで認知症

このことも最近はよく言われるようになってきました。

生活環境の変化(特に大事なものを失った場合など)によって起こる精神的なショックで、生きがいを喪失したために認知症を発症したり、症状が進行する可能性もあるなどと聞きます。

また、アニマル・セラピーという言葉もよく聞きます。

アニマル・セラピーは、欧米では、「病気の回復、適応、病気との闘い、神経筋肉組織のリハビリなどを動物医療の専門家の協力によって実施、指導する医療行為」を指すようです。日本では、「動物と触れ合うことで心と体を癒すこと」を指すようで、まだ欧米でいう医療行為のレベルまでにはなっていません。

いずれにしても、ペットと人間の関係が深まるにつれ、マンションにおけるペット飼育の在り方も変化せざるを得ない状況ですが、ペットロスによる認知症も、アニマルセラピーの効果も完全に認証されたものではないので、例えば管理規約における取り扱いも難しいものがあると言えます。

2002年に「身体障害者補助犬法」が施行され、盲導犬聴導犬介助犬などは、ペット飼育が禁止のマンションでも、例外的に飼育が認められるような管理規約が増えましたが、このように法律が制定されたり、国が効果を認証したものについては、管理規約に規定することのハードルは高くありません。

では、現状、管理規約に決められないような事柄について、管理組合はどう対処すればいいのでしょうか?

それはもう、話し合いしかありません。それが共同体であるマンションの宿命です。同じマンションに住む人間同士で、いかにマンションの生活を快適にするか話し合うしかありません。そのうち、科学が効果を実証し、国が法律をつくるかもしれません。そうすれば規約をつくることができます。しかし、それまでの間は管理組合で知恵を絞るしかないのです。

 

3.ペットクラブの活動

ペット飼育が可能なマンションや、一代限りの飼育が認められているマンションでは、ペットクラブ(ペットサークル、ペット委員会、飼い主の会など名称は様々です。)が組織されているケースが多いと思います。

私が知っているマンションのペットクラブの会長は、ペットに関する苦情はすべて会長自身が受け、問題解決も、その飼い主に直接会って状況を確認して、問題が起こらないような解決策をアドバイスするといった方でしたが、「なぜ、そこまでするのですか?」と聞くと、「ペットが好きだから。このマンションでずっとペットと暮らしたいから、そのためにはペットを飼っていない住民の方の理解を一番大事にしなければならないから」とおっしゃってました。

ここまでお一人でされることはたいへんだと思いますが、やはりペットクラブの活動は、ペットを飼っていない住民の理解を得るためには大事なことです。

ここではペットクラブが行うべき活動を具体的に列挙します。

①ペット飼育者名簿の作成

まず、誰がペットを飼育しているか「管理組合として」把握しなければなりません。ペットクラブは管理組合内の組織であることから、基本的な情報、特に個人情報を含むため、管理組合としての把握が必要です。

また、種類、数、大きさ等もペット飼育細則に規制があると思いますので、その範囲内であるか確認する必要があります。

※飼育者名簿は個人情報ですので、取り扱いには十分気をつけなければなりません。個人情報の取扱いについては以下の記事も参考にしてください。

 

condominium-management.hatenablog.com

②ペットクラブの設立会・定例会の開催

あらかじめ管理規約の細則等で、ペットクラブを規定しておく必要があります。(細則等の制定は、管理組合総会で行います。)

細則等でペットクラブを規定したら、ペットクラブの設立会を開催します。出席対象はペット飼育者全員です。そこで、世話役を選んでください。

設立会では飼育者に対し、設立の意義や、ペットクラブの規約を説明します。

設立会後は、少なくとも1年に1回は定例会を開催してください。

③勉強会等の開催

マンションにおけるペットの飼い方などの勉強会を開催することで、飼育の知識を高めたり、飼育マナーの向上を図ったり、飼育者同士のコミュニケーションを図ることができます。

1年に1回の定例会以外にも、交流の機会を設けることが重要です。

④マンション内外の美化活動やパトロール活動

ペットクラブで美化活動(糞・尿の清掃、タバコの吸い殻・ペットボトル、缶等の収集)や、危険な場所がないか等のパトロールを実施することで、ペットを飼っていない住民や、動物が苦手な住民への配慮を示すことができます。

⑤広報活動

ペットクラブの会報を発行することは、飼育者相互の交流に有効です。最初は簡単なもので構いません。また、マンションの掲示板等に貼り出して、飼育者以外の住民の理解を図りましょう。

 

最後に・・・、ペットロスやアニマルセラピー等はなかなか興味深い話しなので、今後も追っていきたいと思っています。また、今回取り上げなかった災害時のペットの対応なども機会があれば記事にしたいと思います。読者の皆さんも何か情報があれば教えてくださいね。...END