マンション管理研究所 ウォームハート

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管理規約で定めるペットの飼育

 

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最近の分譲マンションの管理規約は、ペットの飼育を禁止するか、認めるかを明確に規定するようになりました。というより、分譲時から「ペット飼育可能」を謳ったマンションが大半を占めるようになって、管理規約には当然のようにペット飼育規定があり、細則にはペット飼育細則があるという状況です。

 しかし、かつて、今ほどマンションでペットを飼うという習慣がなかったころの分譲マンションでは、動物の飼育に関して、管理規約ではなく使用細則の禁止事項として「他の居住者に迷惑又は危害を及ぼすおそれのある動物を飼育すること(ただし、居室のみで飼育できる小鳥・観賞魚は除く)。といった規定が置かれていました。

このあいまいな(抽象的な)”おそれ規定”は、解釈しだいでは「ウチのペットはしっかりしつけをしているから、人に迷惑や危害を加えるおそれはない」などと抗弁する方もいて、管理組合の運営を混乱させるものでした。

今回は、ペットの飼育をどのように管理規約に定めるのか?について考えてみたいと思います。

 1.従来からの規定「迷惑・危害を及ぼすおそれのある動物の飼育禁止」

実際には、まだこの従来からの規定でペットの飼育を可能としている管理組合も多いと思います。例えば、犬・猫を「迷惑または危害を及ぼすおそれがない動物」とみなして飼育を可能としていたり、「犬・猫は迷惑・または危害を及ぼすおそれがある動物」だけど、飼ってしまった犬・猫については一代限りの飼育を認めるなどです。

そもそも、「他の居住者に迷惑または危害を及ぼすおそれのある動物」とは、どんな動物を指すのでしょうか?

以下の3つに分類されます。

はじめから、その「動物そのもの」が居住者に迷惑または危害を及ぼすおそれがある場合
飼い主の「動物の飼い方」によって、居住者に迷惑または危害を及ぼすおそれがある場合
動物の飼い方の誤りによって、結果的にその動物が迷惑や危害を及ぼすものになり、居住者に迷惑または危害を及ぼすおそれがある場合

 ①は、環境省が人に危害を加える恐れのある危険な動物として指定している、いわゆる「特定動物」が該当します。トラ、タカ、ワニ、マムシなど哺乳類、鳥類、爬虫類の約650種が対象となっていますが、これらの猛獣や毒をもつ動物は、当然にマンションで飼うことはできません。

☆環境省:特定動物の飼育または保管の許可について

 ②は、散歩中の犬の糞の始末ができない等の飼い主が該当します。この他、例えば観賞魚自体は水槽での飼育で、他の居住者に迷惑をかけるとは考えにくいが、大きな水槽になると地震等で水槽が破損した場合、下階への漏水で多大な迷惑を及ぼすことになるので、このような場合も該当します。

③は、法律に定められている予防接種を受けていないものや、噛み癖や無駄吠えをするものなど様々なものがあります。

〔  判  例  〕

管理規約に「居住者に迷惑又は危害を及ぼすおそれのある動物を飼育してはならない盲導犬聴導犬・介護犬及び居室のみで飼育できる小鳥・観賞魚は除く)。」旨の規定があるマンションにおいて、犬や猫を飼っている居住者に対して、管理組合がペットの飼育禁止を求める訴えをおこした判例があります。(東京地裁平成19年1月30日判決)

犬・猫を飼っている居住者側は、「ペット飼育が人間の生活にとって極めて重要な意義があり、社会一般に認められている現在において、本件規約が抽象的な”おそれ”の存在だけで一律にペット飼育を禁止するものであり、これは合理性を欠き、居住者の人格権及び所有権を過度に侵害し、違憲・違法である」と主張しました。

しかし裁判所は、「区分所有関係は、物理的には一棟の建物を区分した多数の専有部分について所有権が成立することを認めたものであるから、各区分所有者は、建物の管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないこととされている。(区分所有法第6条)また、建物の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、規約で定めることが認められている(同法第 30 条第1項)。」と指摘し、

「その意味において、マンションの区分所有者の権利は、団体的な制約を受けるものであり、本件マンションにおいては、一律にペットの飼育を禁止することを望む区分所有者が多数である以上、動物飼育禁止条項に違反して犬又は猫の飼育を続けることは共同の利益に反する行為といわざるを得ず、犬又は猫の飼育を禁止されることをもって、人格権又は所有権の過度の侵害ということはできない。」として管理組合の訴えを認めています。

 

2.現在の標準管理規約におけるペット飼育の規定

現在の標準管理規約では、第18条に「対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。」とし、専有部分の使用方法は、基本的・概括的なことは規約で定めておいて、規約の範囲内で、具体的なルールの内容や手続きの細部をなどを使用細則としておくことも可能とする(コメント18条関係①)という扱いになっています。

例えばペットの飼育を禁止する場合は、管理規約に

(ペット飼育の禁止)

第○条 区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬盲導犬介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。

と定める。逆にペットの飼育を可能とする場合は、

(ペットの飼育)

第○条 ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。

などと定め、さらに使用細則に、

  • 動物等の種類及び数等の限定
  • 管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握
  • 専有部分における飼育方法並びに共用部分の利用方法
  • ふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項
  • 飼育に起因する被害等に対する責任
  • 違反者に対する措置

などの詳細なルールを定めることになっています。

3.まとめ

ペット飼育のトラブルは、マンションの生活上で最も解決しずらい問題のひとつです。
飼い主にとって、ペットは家族の一員として欠かせない存在ですが、マンションの居住者の中には動物が苦手な方も存在します。ペットを飼う方は、動物が苦手な方に配慮した飼育を心がけることが大事です。