マンション管理研究所 ウォームハート

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福岡市の旅館業法条例改正に伴う分譲マンションへの影響

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福岡市は、民泊サービスの法に基づく許可取得の促進を図るため、平成28年12月1日に旅館業法施行条例と同施行細則を改正しました。

民泊といっても、宿泊料をもらって人を宿泊させる行為は、旅館業法における「旅館業」そのものであり、営業許可が必要となります。

 許可なしで営業を行うことはできません。その許可も、旅館業法上の規制のほか、建築基準法や消防法上の規制も入るため、ハードルは高いと言えるでしょう。

改正条例では、民泊事業者は、営業許可申請前にマンションの全ての居住者に対して、民泊営業を行うことを周知しなければならないとされ、それ以前に、そもそも管理規約に「民泊の実施が明確に認められる」旨の条項がなければ許可されることはありません。

分譲マンションではそう簡単には民泊営業はできない・・・ということになりますが、なかには、所有権を有効に活用したいと考える区分所有者がいても不思議ではありませんよね。

民泊について管理組合としてどう対応すべきか、まだ方針が決まってない管理組合も多いと思われますので、今回の福岡市の改正条例を契機に考えてみましょう。

 

 

1.そもそも「旅館業」って何?

旅館業法における「旅館業」とは、「宿泊料を受けて人を宿泊(※注)させる施設」であり、旅館やホテル、簡易宿所などが該当します。

※注 「宿泊」とは、「寝具を使用して施設を利用すること」をいいます。

 

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2.改正条例の要旨(抜粋)

2-1 旅館施設と住居との混在禁止規定に、例外規定を追加

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宿泊部分と住居部分とが混在してはならないとされていたのを、規則で定める要件満たす施設は例外とされました。

 では、「規則で定める要件」とは、

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営業許可を受けようとする者が、その施設で営業を行う権限を有していることが要件となります。

ここで、許可を受けようとする施設が分譲マンションであり、申請者が当該マンションの区分所有者である場合、旅館業営業許可申請書に次の添付書類の追加が必要となります。

  • 区分所有者を示す書類・・・➀
  • 施設を旅館業の用に供することが認められていることを確認できる書類・・・②

➀は登記事項証明書等であり、施設の区分所有者であることを確認します。

②は管理規約等であり、管理規約に違反していないことを確認しますが、これは管理規約に「旅館業の実施が明確に認められる」旨の条項がある場合であることが求められています。なお、標準管理規約にある「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」旨の規定は、当該施設を旅館業の用に供することと認めたものではないとしています。

要するに、管理規約にはっきりと「民泊可能」と規定されてなければ、確認にならないというところでしょうか。

 

2-2 簡易宿所における帳場の設置規定に、例外規定を追加

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帳場(ちょうば)とは何でしょう?

・・・旅館又はホテルの玄関に付設された会計帳簿等を記載する等のための設備

いわゆるフロントカウンターのことですね。

 

旧条例では帳場を設置することが必須なのですが、定員が10人未満の宿泊施設であって規則に定める要件を満たせば、帳場は不要となります。

では、その「規則に定める要件」とは、

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市長が別に定める 設備・措置・体制 が必要ということになります。

ひとつひとつ見ていきます。

 

2-2-1 帳場の機能を代替する設備、善良の風俗の保持を図るための措置とは

➀ ビデオカメラ等を設置することにより、宿泊者の出入りの状況が確認できること。

② 事故が発生した場合その他の緊急を要する場合の対応等を行う管理事務所を設ける

 こと。

③ 施設、管理事務所又はその他の場所において宿泊者との面接を行い、宿泊者名簿の

 記載を行うこと。また建物の管理取扱責任について、宿泊者の署名を取ること。

 

マンションで民泊をする場合、宿泊させる部屋の玄関扉を監視する場所に、防犯カメラを設置するということが考えられますが、もろに共用部分にかかるので管理組合との協議が必要になりますね。

 

2-2-2 緊急を要する場合に、迅速に対応することができる体制とは

➀ 施設と管理事務所との間に、通話機器が設置されていること。

② 施設が、管理事務所から速やかに駆けつけることができる範囲であること。

③ 宿泊者の安全等を確保するためのマニュアルを整備すること。

 

②の管理事務所は、宿泊施設から10分以内に駆けつけることができる範囲に設置する必要があって、徒歩なら800m、自転車なら2.5kmの範囲内になります。

 

※詳細については以下の福岡市の資料をご参照ください

「市長が別に定める書類」と「市長が別に定める設備、措置及び体制」の内容について

「市長が別に定める書類」と「市長が別に定める設備、措置及び体制」の審査事項について

 

3.その他、民泊サービスを行う際の留意事項について

民泊サービスは住宅を活用したものであるため、近隣住民とのトラブルが懸念されます。(違法民泊ではすでに、近隣住民とのトラブルが社会問題化しています。)

そのため福岡市では、トラブルを未然に防ぐため以下のことを実施することとしています。

 

3-1 近隣住民への周知

営業許可申請前に、近隣住民に対し、以下の事項について周知に努めること。

 周知時期及び期間許可申請予定日の3週間前から1週間前までの2週間

 周知方法    :対面又はポスティング

 周知の範囲   :当該共同住宅(棟)の全ての居住者やテナント

 周知内容    :申請者氏名・連絡先、旅館業を行う旨、施設の部屋番号、

          営業を開始する時期(予定)、営業岸後の緊急連絡先

 

3-2 施設の掲示

営業許可取得後、速やかに施設等において以下の内容の掲示に努めること。

 掲示内容    :緊急連絡先、責任者

 掲示場所    :施設の玄関付近及び郵便受け(共同住宅の場合)

 掲示方法    :識別しやすい文字の色で表示、鮮明に表示

 文字の大きさ  :90ポイント以上の大きさの文字

      (共同住宅の郵便受けに掲示する場合、30ポイント以上の大きさの文字)

3-3 苦情時の対応

近隣住民からの苦情等に対しては、速やか、適切に対応を行うこと。

 

 

4. 最後に

 以上のように、合法的に民泊営業するには福岡市の旅館業法条例により、さまざまな条件をクリアする必要があります。また、このほかにも建築基準法や消防法上の規制もクリアしなければならず、民泊営業のハードルは高いように思えます。

 しかし、福岡市におけるイベント開催時の宿泊施設の不足や、空き家増加等の問題がますます深刻化することが予想されるため、まずは現時点で管理組合として民泊をどのように考えるかを皆さんで話し合ってみる必要があると思います。

  また現在のルールでは、マンションで民泊を営業する場合は、事前の周知等を実施する必要があり、いきなり隣の部屋で民泊が始まる状況ではないように思えますが、現実は、営業許可を得ずに違法に営業する施設も存在しているようです。そのような施設が疑われる場合は、その施設がある区の保険福祉センター(保健所)衛生課に相談してみて下さい。保健所が調査・指導を行うようです。