マンション管理研究所 ウォームハート

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担当者のミスは管理会社の体質改善からーマンション標準管理委託契約書(8)第15条~第17条

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今回は「マンション標準管理委託契約書」の15条~17条になります。

15条 管理会社の使用者責任

16条 管理会社の守秘義務

17条 管理会社の免責事項

すべて、管理会社に関する規定です。※甲は管理組合、乙は管理会社です。

☆第15条 乙の使用者責任

 乙は、乙の従業員が、その業務の遂行に関し、甲又は甲の組合員等に損害を及ぼしたときは、甲又は甲の組合員等に対し、使用者としての責任を負う。

※15条はコメントはありません。

この「使用者責任」は民法715条からきています。

民法715条

 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

これを管理会社に当てはめると、管理会社の使用者責任とは、管理員やフロントマン等の雇用されている者が、その職務を執行するに際して管理組合・区分所有者に損害を与えた場合に、その者を雇用している管理会社が負う損害賠償責任を意味します。

担当者の業務の履行確認や進捗状況の把握は、会社として行わなければならないものであり、担当者のミスは管理会社の組織としての責任になります。(まあ、これは当たり前の話しですが・・・)

このような場合には管理組合は、組織としての改善や対応を要求すべきでしょう。

一般的に管理会社のフロント(管理組合の直接の担当者、窓口)は入れ替わりが激しいといわれています。拘束時間が長い、土日の出勤が多い、緊急時の呼び出しがいつかかるか分からない等の精神的負担も大きいと思います。
管理組合側からすると、せっかく慣れてきたのに、途端に退職してしまって、また新たなフロントがやってくる。管理組合は長期的な視野で運営していかなくてならないのに、その事務局的存在である管理会社のフロントが管理組合の役員並みに1年任期でコロコロ変わっていては落ち着いた運営はできません。
管理会社の職場環境に問題がある場合も多いと思うので、管理組合側も組織としての体質改善を要求する等の対応を心がけて頂ければと思います。

☆第16条 守秘義務

1 乙及び乙の従業員は、正当な理由がなく、管理事務に関して知り得た甲及び 甲の組合員等の秘密を漏らしてはならない。この契約が終了した後においても、同様とする。

2 乙は、甲の組合員等に関する個人情報について、その適正な取扱いの確保に努めなければならない。

第16条関係コメント

第1項は、適正化法80条及び第87条の規定を受けて、マンション管理業者及びその使用人守秘義務を定めたものである。なお、適正化法第80条及び第87条の規定では、マンション管理業者でなくなった後及びマンション管理業者の使用人でなくなった後にも守秘義務が課せられている

② 第2項は、マンション管理業者は、その業務に関して個人情報に接する機会が多く、個人情報の保護に関する法律の適用を受ける事業者が本法令等を遵守することはもとより、適用を受けない小規模事業者等も「国土交通省所管分野における個人情報保護に関するガイドライン」に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めるものとされていることを踏まえた規定である。

※②は平成29年5月30日から、それまで適用除外となっていた小規模事業者(保有する個人情報が5000人以下の企業)も、個人情報保護法の規制対象となったので、近いうちに改められると思います。

個人情報で気を付けなければならないのは、総会議事録や理事会議事録の記載です。役員選任の議案の場合に、役員の氏名を記載するのは構わないですが、それ以外に個人の名前や、個人を想定させるような文言を記載することには十分注意する必要があります。人によって知られてもいいこと、知られたくないことの感度が違うことがあり、私もかつて苦情を受けたことがありました。どういうことかというと・・・それは個人情報なので書けません・・・

さて、改正個人情報保護法(平成29年5月30日施行)は、管理組合も対象にしています。よって管理組合も組合員に対して秘密保持義務あることになります。

ポイントは5つ

  1. 個人情報を取得するときは、何に使うか目的を決めて、本人に伝える。
  2. 取得した個人情報は、決めた目的以外のことには使わない。
  3. 取得した個人情報は安全に管理する。
  4. 個人情報を他人に渡す際は、本人の同意を得る。
  5. 本人からの「個人情報の開示請求」には応じる。

詳しくは以下の記事も参考にしてください。

 

condominium-management.hatenablog.com

 

☆第17条 免責事項

 乙は、甲又は甲の組合員等が、第8条第1項各号に掲げる災害又は事故等(乙の責めによらない場合に限る)による損害及び次の各号に掲げる損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わないものとする。

一 乙が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害

二 乙が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲が承認しなかった事項に起因する損害

三 前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害

※17条はコメントはありません。

免責とは、「責任を免れること」を意味しますが、次の場合は、管理会社の免責事項となり、損害を賠償する責任を負いません。

① 災害又は事故等による損害

→例:地震により屋上の高架水槽が破損し、階下に漏水したときの事故

② 管理会社が善良なる管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害 

→例:年に2回実施している設備点検で、前の点検時には異常が見られなかったが、次の点検までの間に故障が生じたときの事故

③ 管理会社が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、管理組合が承認しなかった事項に起因する損害

→例:管理会社が実施した消防設備点検で、不具合項目についての修理を管理組合に提案したのにもかかわらず、管理組合が提案を承認しなかったことにより生じた事故

この他にも、管理会社の責めに帰することができない事由による損害は免責となります。