マンション管理研究所 ウォームハート

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マンションの情報開示の方法 ーマンション標準管理委託契約書(7)第14条

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 今回は「マンション標準管理委託契約書」の14条になります。

マンションを売却したり賃貸に出す場合には、多くの方はその仲介を不動産業者に依頼すると思いまが、その際に仲介する不動産業者は、まずそのマンションがどのようなマンションなのか、どのような規約があるのかを調査することになります。

14条は、管理会社が、区分所有者から専有部分の売却等を任された仲介不動産業者から「重要事項の調査依頼」を受けたときの、その専有部分や管理組合の情報を開示する際のルールを定めた条項です。

本来、仲介不動産業者への管理規約等の提供・開示は、売主(売却する区分所有者)または管理組合が行うべきものですが、売主や管理組合は管理の状況についてあまり詳しくないことが多いので、管理会社がその業務を代行しているのが実情です。このような事情によって14条が設けられています。

国土交通省は、平成28年3月の「標準管理規約」改正に伴って、管理委託契約に基づく管理会社による宅地建物取引業者への情報開示の規定(14条)を改めました。

改正前に比べて、開示対象の情報や開示の相手方が拡大していますので、今回は14条1本に絞ってご紹介します。

なお、改正によって条文そのものが長くなり、そのコメントもあり得ないくらい長い(いや、丁寧な)解説になっていますので、14条本文や14条コメントは読み飛ばしてもらって構いません。最後にポイントをまとめていますので、そちらをご覧ください。

※甲:管理組合 乙:管理会社

☆第14条 管理規約の提供等  

1.14条本文・14条関係コメント

1 乙は宅地建物取引業者、甲の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために、理由を付した書面又は電磁的方法により管理規約の提供及び別表第5に掲げる事項の開示を求めてきたときは、甲に代わって当該宅地建物取引業者に対し管理規約の写しを提供し、及び別表第5に掲げる事項について書面をもって、又は電磁的方法により開示するものとする甲の組合員が、当該組合員が所有する専有部分の売却等を目的とする情報収集のためにこれらの提供等を求めてきたときも、同様とする。

2 乙は前項の業務に要する費用を管理規約の提供等を行う相手方から受領 することができるものとする。

3 第1項の場合において、乙は当該組合員が管理費及び修繕積立金等を滞納しているときは、甲に代わって当該宅地建物取引業者に対その清算に関する必要な措置を求めることができるものとする。

第 14 条関係コメント

① 本条は、宅地建物取引業者、媒介等の業務のために、宅地建物取引業法施行規則第16条の2に定める事項等について、マンション管理業者に当該事項の確認を求めてきた場合及び所有する専有部分の売却等を予定する組合員が同様の事項の確認 を求めてきた場合の対応を定めたものである。

管理組合の財務・管理に関する情報を宅地建物取引業者又は売主たる組合員を通じて専有部分の購入等を予定する者に提供・開示すること当該購入予定者等の利益の保護等に資するとともに、マンション内におけるトラブルの未然防止組合運営の円滑化マンションの資産価値の向上等の観点からも有意義であることを踏まえて、提供・開示する範囲等について定めた規定である。

本来、宅地建物取引業者への管理規約等の提供・開示は組合員又は管理規約等の 規定に基づき管理組合が行うべきものであるため、これらの事務をマンション管理業者が行う場合にあっては、管理規約等において宅地建物取引業者等への提供・開 示に関する根拠が明確に規定されるとともに、これと整合的に管理委託契約書においてマンション管理業者による提供・開示に関して規定されることが必要である。

また、マンション管理業者が提供・開示できる範囲は、原則として管理委託契約書に定める範囲となる。管理委託契約書に定める範囲外の事項については、組合員又は管理組合に確認するよう求めるべきである。マンション管理業者が受託した管理事務の実施を通じて知ることができない過去の修繕の実施状況に関する事項等については、マンション管理業者は管理組合から情報の提供を受けた範囲でこれら の事項を開示することとなる。

なお、管理委託契約書に定める範囲内の事項であっても、「敷地及び共用部分における重大事故・事件」のように該当事項の個別性が高いと想定されるものについ ては、該当事項ごとに管理組合に開示の可否を確認し、承認を得た上で開示することとすることも考えられる。

提供・開示する事項に組合員等の個人情報やプライバシー情報が含まれる場合に は、個人情報保護法の趣旨等を踏まえて適切に対応する必要があるため、マンショ ン管理業者は、管理組合の求めに応じ、具体的な対応方法について予め明らかにし ておくことが望ましい

なお、別表第5に記載する事項については、「敷地及び共用部分における重大事故・事件」に関する情報として特定の個人名等が含まれている場合を除き、個人情報保護法の趣旨等に照らしても、提供・開示に当たって、特段の配慮が必要 となる情報ではない(売主たる組合員の管理費等の滞納額を含む。)。

④ 管理規約が電磁的記録により作成されている場合には、記録された情報の内容を 書面に表示して、又は電磁的方法により提供するものとする。

⑤ 管理規約等において購入予定者等に対する管理規約等の提供・開示を含めて規定されている場合は、当該規定を踏まえて第1項の規定内容の追加等を行うものとす る。

⑥ マンション管理業者が、甲の組合員から当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受けた宅地建物取引業者に対する総会議事録等の閲覧業務について、管理規約の提供等の業務とあわせて受託している場合は、当該閲覧業務についても第1項の規定の内容に追加等を行うものとする。この場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該議事録の保管場所において、当該電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの閲覧をさせるものとする。なお、議事録には個人情報やプライバシー情報が含まれる場合も多いことから、個人情報保護法の趣旨等を踏まえて適切に対応することが必要である。

⑦ マンション管理業者が第1項に基づいて提供・開示した件数第2項に基づいて受領することとする金額等については、第9条第3項の報告の一環として管理組合に報告することとすることも考えられる

 

2.改正ポイント

(1)14条本文の改正ポイント

① 開示対象として規定する情報項目を拡充

標準管理規約の改正(平成28年3月)、購入予定者等におけるニーズ等を踏まえて充実(開示する項目を列記した別表第5を新設)させた。

② 開示対象者に組合員を追加

組合員自らが購入予定者に情報提供を行う場合に対応できるよう、組合員への情報開示・提供規定を追加した。

③ 開示費用の徴収規定を追加

情報開示関係業務に要する費用を、管理業者が開示する相手方から受領できる旨の規定を追加した。

(2)14条関係コメントの改正ポイント

① 情報開示の意義

管理情報が購入予定者に提供されることは、購入予定者の利益保護に資するほか、マンション内のトラブルの未然防止、組合運営の円滑化、資産価値の向上等の観点からも有意義である旨を追記した。

② 「共用部分における重大事故・事件」への対応

別表第5に掲載する「共用部分における重大事故・事件」については、該当事項ごとに管理組合に開示の可否を確認し、承認を得た上で開示するとの対応も考えられる旨を追記した。

③ プライバシー情報が含まれる場合の対応(売主滞納額は開示に特段の配慮は不要である旨を明示)

個人情報保護法の趣旨を踏まえた対応が必要であることを明記した。売主滞納額等、別表第5の項目は「共用部分における事件事故」(特定の個人名等が含まれている場合)を除けば、開示に特段の配慮は不要である旨を明記した。

④ 購入予定者等へ開示する場合の修正

規約等において購入予定者への提供・開示が規定されている場合には、これを踏まえた規定とする旨を追記した。

⑤ 総会議事録等の閲覧業務を受託する場合の修正

宅建業者に対する総会議事録等の閲覧業務を受託している場合には、これを踏まえた規定とする旨を追記した。

⑥ 開示に関する事後報告を行う場合について追記

管理業者が提供・開示した件数、手数料等については、第9条3項の報告の一環として報告することもあり得る旨を記述した。

 

今回の改正で、専有部分の売買や賃貸を仲介する不動産業者へ提供する情報が充実・拡大されたのですが、どんな情報が開示されて、どんな情報が開示されないのかなど、いずれの情報もマンションにとって大事な情報であるため、しっかりと管理会社と打合せを行い、管理規約や管理委託契約書に規定しておくことが重要です。...END