マンション管理研究所 ウォームハート

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マンション標準管理委託契約書(3)第4条~第6条

 

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今回は、管理事務の第三者へ再委託に関する規定(4条)、管理業者の善管注意義務に関する規定(5条)、委託業務費の内訳に関する規定(6条)になります。

※甲(管理組合)、乙(管理業者)

 マンション標準管理委託契約書 ⇒ 契約書

 マンション標準管理委託契約書コメント ⇒ コメント

 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法) ⇒ 区分法

 マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法) ⇒ 適正化法

☆第4条 第三者への再委託

1 乙は、前条第二号、第三号又は第四号の管理事務の全部又は一部を、第三者に 再委託することができる。
2 乙が前項の規定に基づき管理事務を第三者に再委託した場合においては、乙は、再委託した管理事務の適正な処理について、甲に対して、責任を負う。 

コメント第4条関係

①第1項は、適正化法第 74 条で基幹事務の一括再委託を禁止していることを踏まえ、第3条第1号の事務管理業務の一括再委託ができないよう定めたものである。

②本契約は、甲と乙の信頼関係を基礎とするものであるから、管理事務を第三者に再委託する場合においても、乙は、自らの責任と管理体制の下で処理すべきものである。

 第2項の規定により再委託した場合の最終的な責任を乙が負うにしても、再委託業者が業務を執行する上で直接甲に接触すること等もあることから、契約締結時に 再委託する管理事務及び再委託先の名称(以下「再委託事務等」という。)が明らかな場合には、事前に甲に通知することが望ましい。

 また、これを変更又は追加する時も同様とし、諸事情により事前に通知できない場合は、事後速やかに甲に報告 することが望ましい。

 ただし、第3条第1号の管理事務のうち出納に関する事務は極めて重要であるので、管理費等(別表第1 1(2)①において定義するものをいう。以下同じ。)の収納事務を集金代行会社に再委託する場合その他の出納に関する事務を再委託する場合は、再委託事務等を事前に甲に通知すべきである。

 管理業者は、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務の全部または一部を第三者に再委託することができますが、基幹事務を含む事務管理業務を一括再委託することはできません。

 なお、管理業者は第三者に再委託した管理事務の適正な処理について、管理組合に責任を負います。管理組合から委託を受けた以上、管理業者内部で第三者に業務をさせていたとしても、管理業者が責任を負うのは当然です。

☆第5条 善管注意義務

 乙は、善良なる管理者の注意をもって管理事務を行うものとする。

コメント第5条関係

 本条は、管理委託契約が民法第 656 条の準委任契約の性格を有することを踏まえ、同法第 644 条の善管注意義務を契約書上も明文化したものである。 本契約書の免責条項(第8条、第 10 条、第 11 条、第 13 条、第 17 条)の規定によ り、マンション管理業者が免責されるには、各規定に適合するほか本条の善管注意義務を果たしていることが必要である。

 管理業者は、善良なる管理者の注意をもって管理事務を行う必要があります。管理業者の免責事項(第17条ほか)も、この善管注意義務を果たしていなければなりません。「善管注意義務」とは、「委任を受けた人の職業、地位、能力等において一般的に要求される平均人としての注意義務」をいいます。要は、マンション管理業者は、専門家 (プロ)として払うであろう注意または払うことができる注意をもって管理にあたらなければならないということです。

☆第6条 管理事務に要する費用の負担及び支払方法

1 甲は、管理事務として乙に委託する事務(別表第一から別表第四までに定める事務)のため、乙に委託業務費を支払うものとする。

2 甲は、前項の委託業務費のうち、その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用(以下「定額委託業務費」という。)を、乙に対し、毎月、次のとおり支払うものとする。

一 定額委託業務費の額

月額○○円(消費税額及び地方消費税額(以下、本契約において「消費税額等」 という。)を含む。 内訳は、別紙一のとおりとする。

二 支払期日及び支払方法

毎月○日までにその○月分を、乙が指定する口座に振り込む方法により支払う。

三 日割計算

期間が一月に満たない場合は一月を○日として日割計算を行う。

3 第一項の委託業務費のうち、定額委託業務費以外の費用の額(消費税額等を含む。) は別紙二のとおりとし、甲は、各業務終了後に、甲及び乙が別に定める方法により精算の上、乙が指定する口座に振り込む方法により支払うものとする。

4 甲は、第一項の委託業務費のほか、乙が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費、通信費、消耗品費等の諸費用を負担するものとする。

コメント第6条関係

①第2項で定額委託業務費の内訳を明示することにより、第3条に規定する管理事務の範囲・内容と定額委託業務費の関係を明確化することとしたものである。

 ただし、適正化法第72条に基づき管理委託契約締結前に行う重要事項説明等の際 に、マンション管理業者が管理組合に対して見積書等であらかじめ定額委託業務費 の内訳を明示している場合であって、当事者間で合意しているときは、管理委託契約に定額委託業務費の内訳を記載しないことができる。

②第2項第2号で定める支払方法以外の方法で、委託業務費の支払いをする場合に は、同号を適宜修正するものとする。

③甲は、管理事務として乙に委託する事務(別表第1から別表第4までに定める事 務)のため、乙に委託業務費を支払う。

 この委託業務費は、実施する業務の性格に よって、第2項で定める定額委託業務費(その負担が定額でかつ実施内容によって 価格に変更を生じる場合がないため精算を要しない費用)と、第3項の定額委託業 務費以外の費用(実施内容によって価額に変更が生じる場合があるため各業務終了 後に甲乙で精算を行う費用)とに分けられる。

④第3項の定額委託業務費以外の業務費とは、例えば、業務の一部が専有部分内で行われる排水管の清掃業務、消防用設備等の保守点検業務などが想定される。

 なお、管理委託契約上定額委託業務費以外の業務費が存在しないときは、本項は不要である。

⑤契約期間が1年で3年ごとに実施する特殊建築物定期調査のように、契約期間をまたいで実施する管理事務の取扱いについては、本契約と別個の契約とする方法、 定額委託業務費以外の業務費とする方法又は定額委託業務費に含める方法とし、定額委託業務費に含める場合は、実施時期や費用を明示し、管理事務を実施しない場合の精算方法をあらかじめ明らかにすべきである。

⑥ 契約期間内に実施する管理事務であっても、消防用設備等の点検のように1年に 1、2回実施する管理事務の取扱いについては、定額委託業務費以外の業務費とす る方法又は定額委託業務費に含める方法とし、定額委託業務費に含める場合は、実施時期や費用を明示し、管理事務を実施しない場合の精算方法をあらかじめ明らかにすべきである。

 管理を委託している管理組合が、管理会社に支払う委託業務費ついての規定です。まず、委託業務費を「定額委託業務費」と「定額委託業務費以外の費用」に分けています。そのうえで、その内訳を別紙1と別紙2に記載することにしています。

 毎年1回行われる通常総会の議案書には収支決算報告書が添付されていると思いますが、支出の欄には「委託業務費」「管理委託費」などの勘定科目で定額委託業務費の支出額が記載されています。

 定額委託業務費以外の費用は、それぞれ個別の勘定科目で支出額が記載されています。じつはこの表記だけでは、どの業務が管理会社に委託されていて、さらに再委託されているのか、あるいは管理組合が直接契約しているのかが分かりません。収支決算報告書の備考欄などを利用してその旨を明らかにしておくことも大事だと思います。

 最後の第4項に、管理組合として管理業者と交渉できる条項があります。管理業者が管理事務を実施するときに使った水道光熱費、通信費、消耗品費は管理組合が負担するとなっています。例えば年に1回受水槽清掃を行うときに、満タンにたまった水を抜かなければ作業ができませんが、その際の水代を管理組合が負担するのはやむを得ないかもしれませんが、管理員が使用する事務用品代などは管理業者で負担してもらうなど、個別に交渉できる余地はあります。少し細かい話しにはなるので、もっと負担の大きい委託業務費の減額交渉をしたほうがいいのかもしれませんが、管理会社の姿勢を見るのにはいい機会だと思います。...END