マンション管理研究所 ウォームハート

あなたのマンションの管理業務はその費用に見合った内容で適正に実施されていますか? 当ブログはマンション管理のセカンド・オピニオン”マンション管理士”の活用を推進するブログです。マンション管理士が”Warm Heart”なマンション管理をご提案します。

マンション標準管理委託契約書(1)概要

f:id:deepseacruise:20170724185626j:plain

 多くの管理組合は、管理業務をマンション管理会社に委託しています。厳密にいうと「管理委託契約」を交わしているわけです。

 ところで、管理委託契約の内容が書かれてある「管理委託契約書」を見たことがある方はいますか?管理組合を構成する組合員の皆さんであれば誰でも見ることができるはずですが、ほとんどの方は見たことはないでしょう。そこにはいったい何が書いてあるのでしょうか?

 5年に1度実施されている国土交通省の「平成25年度マンション総合調査」では、管理委託契約の内容について「よく知っている」と「だいたい知っている」と合わせて75.4%という結果が出ています。調査ではかなり多くの方が知っていることになっていますが???

 ということで今回からは、国土交通省がマンションに係る管理委託契約を締結する場合に指針として活用するよう推進している「マンション標準管理委託契約書」についてまとめてみます。

※マンション管理に関する専門用語が多く出てきますが、分からないところは気にしないで読んでみてください。今後、数回に分けて「マンション標準管理委託契約書」を取り上げる予定なので、その中で解説していきたいと思います。

平成25年度マンション総合調査

マンション標準管理委託契約書への準拠状況

概ね準拠している 88.8%
一部準拠している  1.3%
全く準拠していない  1.5%
不明  8.4%

管理委託契約内容の認知状況

良く知っている 19.9%
だいたい知っている 55.5%
ほとんど知らない 14.3%
全く知らない  1.8%
管理事務の委託はしていない  7.2%

1.マンション標準管理委託契約書制定・改定の経緯

 マンションの管理委託契約に関する標準的な契約書として、昭和57年に住宅地審議会より答申された「中高層共同住宅標準管理委託契約書」及び同契約書「コメント」が存在し、これまで広く活用されてきました。

 その後、約20年間、大幅な見直しは行われませんでしたが、平成13年にマンション管理適正化法が施行され、様々な制度が設けられたこと、また委託業務の範囲や処理方法等も多様化していることなどの状況を踏まえ、必要な見直しが行われました。

 改定された標準管理委託契約書は、その名称も「マンション標準管理委託契約書」とされ、平成15年4月に公表されています。

☆平成15年改定の主な要点

  • 契約更新時に重要事項説明が必要になったことを踏まえて、更新の申し入れ時期を3ヵ月前までとするとともに、自動更新条項を削除した。
  • 管理組合財産の保護のために、出納業務に係る財産の分別管理(通帳・印鑑の管理、収納方式等)について詳細に規定した。
  • 委託した管理業務と委託費の関係が明確になるよう、委託費の内訳を明記した。
  • 管理業者の免責事項について整理し、明確化した。

 さらに昨今の、管理組合の修繕積立金等の毀損などの事案に対応するため、マンション管理適正化法施行規則が平成21年に改正され、それに伴って標準管理委託契約書も全体的な見直しが行われました。

☆平成21年改定の主な要点(平成22年5月1日以後の契約から適用)

① 財産の分別管理(別表第1)

  • 原則方式・収納代行方式・支払一任代行方式を廃止し、収納口座、保管口座、収納・保管口座による分別管理に変更
  • 口座種別ごとの印鑑等の保管物の明確化
  • 毎月徴収された修繕積立金等金銭から、当月分の管理費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座へ移し換えること

② 保証契約の締結(別表第1)

  • 管理業者が修繕積立金等金銭を管理する場合において、一定の場合を除き、1ヵ月分の修繕積立金等金銭の合計額以上について有効な補償契約を締結すること及び補償契約の内容を明記

③ その他の規定の整備

  • 管理対象部分の名称の統一(第2条他)
  • 事務管理業務の一部の再委託を可能とする(第4条)
  • 宅地建物取引業者に提供する事項の追加(第14条)
  • 管理業者に対する個人情報保護に関する規定の追加(第16条)
  • 長期修繕計画案の作成業務及び計画の見直業務については、管理委託契約とは別個の契約とする旨を記載(別表第1)
  • 管理組合が、管理業者とは別業者にマンションの維持・修繕(大規模修繕を除く)を行わせる場合、別業者が行う業務について、管理業者が行う業務内容の明確化(別表第1)

2.マンション標準管理委託契約書の構成

 マンション標準管理委託契約書の構成は、条文が第1条から第24条まで、別紙1、別表第1から第5まで で構成されています。

1条 総則
2条 本マンションの表示及び管理対象部分
3条 管理事務の内容及び実施方法
4条 第三者への再委託
5条 善管注意義務
6条 管理事務に要する費用の負担及び支払方法
7条 管理員室等の使用
8条 緊急時の業務
9条 管理事務の報告等
10条 管理費等滞納者に対する督促
11条 有害行為の中止要求
12条 通知義務
13条 専有部分等への立入り
14条 管理規約の提供等
15条 乙の使用者責任
16条 守秘義務
17条 免責事項
18条 契約の解除
19条 解約の申入れ
20条 本契約の有効期間
21条 契約の更新
22条 法令改正に伴う契約の変更
23条 誠実義務等
24条 合意管轄裁判所
別紙1 定額委託業務費の内訳
別紙2 定額委託業務費以外の業務費
別表第1 事務管理業務
別表第2 管理員業務
別表第3 清掃業務
別表第4 建物・設備管理業務
別表第5 宅地建物取引業者等の求めに応じて開示する事項

 次回からは条文を細かく見ていくことにします。...END