マンション管理研究所 ウォームハート

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「マンションすまい・る債」で知っておくべき7つのこと

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修繕積立金は、マンションの長期的な計画修繕に支出するために積み立てるものであるため、金利の低い普通預金で運用するのはあまり得策ではありません。

しかし、このお金は全区分所有者の共有財産であるため、運用については安全性が最優先されなければなりません。

過去には修繕積立金社債を購入したが、その会社が倒産したため、修繕積立金が失われてしまったという事件も発生しています。

「平成25年度マンション総合調査」によると、修繕積立金の運用先については、次のような結果になっています。

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やはり安全性を考慮して、普通預金や定期預金に預けているケースが多いようです。

しかしこの場合も、ペイオフ制度により、預金は1,000万円+その利息までしか保護されないため、100戸クラスのマンションになると、毎年毎年1つずつ、別の銀行に口座を開設しなければならないという手間が発生することになります。

また、年1回の会計監査では、管理組合が保有する預金口座の残高証明書を取り寄せる必要があり、その発行手数料が300円~500円程度かかることを考えれば、その負担もばかにならない金額です。

※ ちなみに現在(2017年3月10日)の都市銀行、ゆうちょ銀行の普通預金金利は0.001%、定期預金の金利は0.01%

そこで今回は、修繕積立金の運用先として、マンション総合調査でも2割近い利用率となっている、独立行政法人住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」について、まとめてみたいと思います。

1. マンションすまい・る債とは?

2. マンションすまい・る債の特徴

  1. 利付10年債で、毎年1回(2月予定)定期的に利息が支払われる。
  2. 1口50万円から複数口積立て可能で、最大10回継続して積立てが可能。
  3. 初回債券発行時から、1年以上経過すれば換金可能。
  4. 機構が国の認可を受けて発行している。
  5. 積立額上限は、1 年間の修繕積立金額に、前年度決算における修繕積立金残高(借入金を除いた額)を加えた金額の範囲内
  6. 盗難・火災・紛失等の事故により債券の保全に支障をきたさないよう、債券は 機構が無料で保管(保護預り)する。(管理組合には「債券発行通知書」が送付される)                              

※債券の利率について
10年満期時 年平均利率0.080%(税引後0.0678%)  

発行した債券の経過年数に応じて年平均利率は年々アップし、10年満期まで預けた場合に年平均利率が0.080%(税引き前)になる。また、各年に支払われる利息額は、その年の年平均利率より算出した利息額から前年までの受取利息を差し引いた額となる。

3. 積立のしくみ

同一口数で継続して積立てする場合、 1 回~最大10回(毎年 1 回)まで連続して行うことができ ます。 

※積立て途中で積立てを中断することもできますが、再開する場合や積立て途中で積立口数を変更する場合は、 新たな応募を行う必要があります。

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4. 積立てができるマンション管理組合の要件

この制度を利用できる管理組合は、次の 4 つの要件を満たす管理組合です。

  1. 機構融資を利用し、共用部分の修繕工事を行うことを予定している管理組合であること。(なお、結果的に機構融資を受 けずに共用部分の修繕工事を行うことになっても、特に違約金等は発生しません。)
  2. 管理規約が定められていること。
  3. 長期修繕計画の計画期間が20年以上であること。
  4. 反社会的勢力と関係がないこと。

※なお、本制度は総会決議を応募要件とはしていません。ただし、修繕積立金の運用方法 が管理規約で総会決議事項とされている場合(標準管理規約第48条第8号)には、総会での決議後に応募を行う必要があります。管理規約を確認の上、応募してください。

5. 積立手続の流れ(応募から債券発行まで) 

平成28年度の場合

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募集枠があります。

平成28年度から、15万口・750億円までとなりました。

9月中旬までの応募期間なので、総会決議が必要な管理組合は8月までには総会決議を取っておく必要があると思われます。

6. 「マンションすまい・る債」を積み立てた管理組合への特典

  1.  マンション管理情報誌をお届け(年2回)
  2. 管理組合向けのマンション管理・再生に関するセミナーへの招待
  3. 管理組合の組合員向けにメールマガジンを配信
  4. ご相談内容に応じてそれぞれの担当が電話相談等に応じる
  5. 「マンション共用部分リフォーム融資」の金利を年0.2%引き下げ
  6. 「マンション共用部分リフォーム融資」の保証料を 2 割程度割引(マンション管理センターに保証委託する場合)

7. 積立金の保全について

一般的に、債券の安全性はそれを発行する主体(発行体)の債務全体を履行する総合的な能力 (信用力)に依存していると考えられています。

機構は、資本金の全額を政府が出資しており(平成26年度末7,117億円)、主務大臣は国土交通大臣財務大臣となっています。マンションすまい・る債は、政府保証は付されていませんが、 独立行政法人住宅金融支援機構法(以下「機構法」という)に基づ き、国の認可を受けて発行しています。 なお、マンションすまい・る債は預金保険制度の対象ではありません。

また、マンションすまい・る債の積立金については、機構法において、機構の財産より優先的に弁済されることが定められており、管理組合から預かった財産を保全するための措置が講じられています。

8. まとめ

最近、年金の一部については、リスクが高いとされる株式等へ運用されているようですが、管理組合の金融財産については、投資ファンドマネージャーを雇うわけにもいかないので、やはり、より安全性の高いものでなくてはなりません。

しかし、運用の選択肢がたくさんあるわけでもないので、修繕積立金に余裕がある管理組合や、10年後に大規模修繕工事を予定している管理組合などは「マンションすまいる債」について検討してみてはいかがでしょうか。

※なお、詳細については必ず機構ホームページで確認してください。

※本文中の図表、文言の一部については住宅金融支援機構「マンションすまい・る債のご案内」より抜粋しています。

http://www.jhf.go.jp/files/300314481.pdf