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ヒラメキ! マンション管理

福岡市在住のマンション管理士:北口秀樹のブログへようこそ

マンション管理士賠償責任保険について

役員のなりて不足

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マンション管理組合の共用部分の損害を補償する「マンション総合保険」に、特約として「個人賠償責任保険」を付保している管理組合は多いと思います。

この特約は、「日常生活にかかわる偶然の事故により、居住者が、他の居住者や第三者に対して負担する損害賠償責任を補償するもの」です。

例えば、洗濯機のホースが外れてしまい、下階の部屋に漏水させてしまった場合や、バルコニーから誤って植木鉢を落としてしまい、通行人にケガをさせてしまった場合などに使われます。(マンション総合保険に個人賠償保険を一括付保することについては、最近さまざまな動きがあるので、後日まとめたいと思います。)

さて、これからお伝えするのは、マンション管理士の「賠償責任保険」です。この保険は、損保ジャパン日本興亜株式会社が平成23年から提供している保険です。

その内容は、「マンション管理士がその業務について行った行為(不作為を含む)を原因として、管理組合等から損害賠償請求され、法律上の賠償責任を負ったときに発生する損害賠償金や訴訟費用を補償する保険」です。

1.加入資格

日本マンション管理士会連合会所属のマンション管理士に保険加入資格があります。

2.保険金の支払いの対象となる業務

保険金の支払いの対象となる業務とは、マンション管理士として行う業務です。

マンション管理士として行う業務とは、マンション管理適正化法第2条第5号に規定されている業務です。すなわち、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者またはマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことをいいます。

3.保険金の支払い対象となる費用

  • 被害者に支払いするべき法律上の損害賠償金
  • 訴訟になった場合の訴訟費用、弁護士費用等

4.保険金の支払いの対象とならない場合(抜粋)

  • マンション管理士の故意または他人に損害を与えることを予見しながら行った行為に起因する損害賠償請求
  • 法令に違反することを認識しながら行った行為に起因する損害賠償請求
  • 通常の業務の範囲でない行為(主に他の士業の専門行為)に起因する損害賠償請求
  • 業務の履行不能または履行遅滞に起因する損害賠償請求 など

5.改正標準管理規約コメントにおける取扱い

平成28年に改正されたマンション標準管理規約では、外部専門家の役員就任が可能となる規約の設定が示されました。

◉全般関係コメント③

近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの 高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第34条参照)、さらに進んで、外部専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。(以下省略)

◉標準管理規約第35条第2号

 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。

【外部専門家を役員として選任できることとする場合】

 理事及び監事は、総会で選任する。  ←組合員のうちから を外す

◉第35条関係コメント①

管理組合は、建物、敷地等の管理を行うために区分所有者全員で構成される団体であることを踏まえ、役員の資格要件(第35条第2号)を、当該マンションへの居住の有無に関わりなく区分所有者であるという点に着目して、「組合員」としているが、全般関係③で示したとおり、必要に応じて、マンション管理に係る専門的知識を有する外部の専門家の選任も可能とするように当該要件を外すことも考えられる。

◉第37条関係コメント①

役員は、管理組合の財産のき損の防止及びそのために必要な措置を講じるよう努めるものとする。特に外部の専門家の役員就任に当たっては、判断・執行の誤りによる財産のき損に係る賠償責任保険への加入に努め、保険限度額の充実等にも努めるべきである。

以上のように、改正標準管理規約では、外部専門家を役員に選任する際には、賠償責任保険への加入を努力義務としています。管理組合としては、役員選任細則に賠償保険への加入を義務付けする等が考えられます。

6.まとめ

マンション管理士賠償責任保険は、管理組合のための保険ではなく、マンション管理士の損害賠償責任を補償する保険であることがお分かりいただけたと思います。

この保険の管理組合にとってのメリットのひとつは、マンション管理士に業務を委託して、何らかの損害が管理組合に発生した場合に備えて、委託するマンション管理士の資力が担保できることだと思います。また、マンション管理士としても、賠償責任保険に加入していることで、管理組合に一定の安心感を与えられることがメリットであると言えます。

ここで注意が必要なのが、マンション管理士が行った行為の全てが補償されるのではないということです。あくまで、マンション管理士が誠実に業務を行ったにもかかわらず、その業務に関して損害賠償責任を負ってしまった場合に補償されるという保険なので、故意に管理組合に損害を与えた場合、例えば管理組合の修繕積立金を横領した場合などは、当然に保険が出ることはありません。

いずれにしても、管理組合とマンション管理士の間には十分な信頼関係がなければならないのは言うまでもありません。