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ヒラメキ! マンション管理

福岡市在住のマンション管理士:北口秀樹のブログへようこそ

大規模修繕工事(5)施工業者選定のポイント

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今から60年程前、東京に日本初の民間分譲マンションが建ちました。

「四谷コーポラス」というマンションです。今も現役で、賃貸募集もされています。

そして、「四谷コーポラス」から遅れること12年、福岡市内にもようやく民間分譲マンションが誕生しました。(なんと、私が生まれた年でした!)

それから49年、福岡市内のマンションは続々と増え、今や日本有数のマンション化率を誇る街になりました。

当然、大規模修繕工事も2回目、3回目を迎えるマンションが増えており、工事に対する管理組合の体制も整ってきていると思われます。

しかし、建設業界では、東日本大震災以降、東京オリンピック等の影響も重なって、原材料費の高騰、建設資材不足、人手不足等により工事費の高騰が続いています。

大規模修繕工事を行う状況が以前と変化してきている現状があると思われますが、今回は大規模修繕工事の施工業者選定について考えてみます。

1.施工業者選定のポイント

① 分譲マンションにおける大規模修繕工事の実績

居住者が生活している状態で行われる修繕工事を、これまでどれくらい手掛けてきたかは重要なポイントです。

人が住んでいる状態での施工実績を持つ施工業者には、その種の工事を安全かつ円滑に行うためのノウハウが蓄積されていると考えられます。

どんな階数や戸数のマンションを手掛けたのか、という工事の規模や内容も重要な情報のひとつです。

 

② 現場監督をすることになる現場責任者の修繕工事実績や経歴

現場に常駐する現場責任者は工事の質を左右します。十分な経験はもちろんですが、人柄やコミュニケーション能力なども大事です。

 

③会社規模や経営状態のチェック

マンションの外壁補修工事は高層で行われる工事であり、万が一事故が発生した場合、死傷者が出る可能性があります。その場合の補償やその後の工事の継続を考えると、ある程度、規模の大きな会社が元請けである方が安心であるといえます。

また、債務超過のある会社を選んで工事中に倒産することなどないよう、経営状態はしっかり確認すべきです。

 

④ プレゼンテーションや工事説明会での説明内容

施工業者のプレゼンテーションの際には、工事後の保証やアフターサービスの内容・期間についてどのような契約を予定しているのか、十分に確認する必要があります。

 

2.施工業者の選定方法

おおむね次のように分類されます。

 

① 見積り合わせ方式

複数の施工業者を選定し、見積金額だけではなく、その他の要素を多角的に検討し、総合的に最も適当と考えられる業者を選定する方法

 

② 特命随意契約

特定の1社から見積もりをとり、その内容について検討、協議のうえ契約する方法

 

③ 入札方式

入札を希望する業者を公募し、数社を指名して競争入札を行う方法

 

※調査・診断に基づいて作成された工事仕様書、設計図及び工事数量等を共通のベースとして、複数の施工業者から工事費見積書を提出させ、それらを比較検討して候補者を内定する方法が一般的になっています。

 

3.見積りを募る施工業者の選択方法

  • 居住者からの推薦業者の募集
  • 管理会社又は管理会社からの推薦
  • 当該建物の新築時の施工業者
  • 他の施工業者からの営業(売込み)
  • 近隣で大規模修繕工事を行っている施工業者

4.施工業者の分類

① ゼネコン系(総合建設会社)

  • 大規模修繕工事の需要が増えるにつれ、ゼネコンやゼネコン系列のリフォーム会社が改修工事を行うケースが増えてきた。
  • 名前の知られた施工業者は安心感があるが、基本は新築工事を主とするため、マンションの大規模修繕工事の経験と実績についてはそれぞれの会社で差がある。

② 専業者系(大規模修繕工事専門の施工業者)

  • もともと、大規模修繕工事に関わる塗装工事や防水工事を担当していて、実績を積んで経験を増やすことで、下請け工事から元請け工事もこなすようになったという工事業者が多い。
  • 地域に根ざした中小の会社もあれば、数十億~数百億円という売上高の大きな規模の会社もある。
  • 専門の施工業者ならではの豊富なノウハウを持ち、状況に応じた、きめ細かい対応ができるなど、小回りが利く点が強みだが、総合的な管理能力などにやや不安が残るケースもある。

③ 管理会社系(または関連施工業者系)

  • マンションの管理会社に大規模修繕工事部門があって工事を請け負うケース、関連子会社などの施工業者があるケース、あるいは独立系の大規模修繕工事専門の施工業者と提携しているケースなどがある。
  • マンションの管理会社にそのまま大規模修繕工事を任せることは、自分たちのマンションを一番よく知っていることによる信頼性がある。
  • 反面、建物を第三者の立場から客観的に見るという点で、外部委託や発注する第三者と比べ、調査診断や設計及び施工がしっかり行われるのかという不安がある。

 

5.まとめ

大規模修繕工事の施工業者選びは、選定方法や施工業者の種類について詳しく知り、  なるべく対象を広くとらえることが大切です。

また、施工業者は、工事内容(外壁工事、設備工事、耐震改修工事ほか)や建物規模・形状(高層タワーマンション、団地、一般マンションほか)によって得意不得意があります。適切で納得のいく選び方ができるよう、様々な方法を検討しましょう。