マンション管理研究所 ウォームハート

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大規模修繕工事(3)発注方式

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前回は、大規模修繕工事の全体的な流れを説明しました。

今回からは少し細かく要所を見ていきたいと思います。

実は私も、この業界に入るまでは、工事とか建設とかいう世界には全く無縁の人でした。

特に、建設用語というか業界用語にはついていけず、参考書を読んでも眠たくなるばかり。それでも、管理組合の総会では工事の説明をしなくてはなりません。説明している本人が分かってないのだから、聞いている方が分かるわけないですよね。当時の管理組合の皆様にはたいへんご迷惑をお掛けしました。

もちろん管理会社の中には、しっかりした工事部門がある会社もありますので、そういう会社であれば、分かりやすい説明をしてくれます。ただ、注意しなければならないのは、管理会社が分かりやすい説明をしたからといって、大規模修繕工事が管理組合のために最善の工事になるのかというのは別の問題です。

やはり自分の身は自分で守るという意味で、少しずつでいいので、知識を高めていって欲しいと思います。

ということで、今回は工事の取り組み方についてまとめてみます。

 工事の取り組み方(発注方式)には、大きく分けて2つあります。その他にも最近、取り入れられるようになった方式を2つ紹介します。

1.責任施工方式と設計監理方式

「責任施工方式」は、工事の最初から最後まで(設計から施工まで)を、建設会社1社ですべて行ってしまうという方式です。

すべてをお任せするからには、相当な信用と信頼がなくてはなりません。本当に信頼できる施工業者が見つかれば、管理組合側にとって楽な方式であるといえます。

まあ、それができれば世の中のマンションの大規模修繕工事は、すべて責任施工方式になるはずですが・・・

責任施工方式では第三者の目がないので、施工不良があったとしても表に出にくい状況になりがちです。

そこで、第三者の目として設計のプロに、工事の監督をしてもらうという方式が「設計監理方式」です。

もちろん、工事を行う建設会社と設計監理を行うプロは、つながりがあってはならないのは言うまでもありません。

また、監督といっても、通常、工事現場を取り仕切る現場監督さんとは違うもので、工事が設計どおり行われているかを、要所要所、厳しい目で確認する役目を果たします。これによって建設会社さんもしっかりと工事を行って頂けるというものです。

では、どちらの方式がいいのか、ということになりますが、はっきりとどちらがいいと言えるものではありません。

マンションの規模・管理組合の財政や体制等いろんな要素を考えて、いろんな話を聞いて、管理組合で決めていくしかないのです。

ちょっと突き放すような言い方ですが、十数年かかって積み立ててきた少額とは言えないお金を一挙に使ってしまうことになるし、工事の良し悪しで、その後、数十年のマンションの価値が決まってしまうことにもなるので、管理組合としてしっかりと検討して頂きたいと思うからです。

以下に2つの方式のメリット・デメリットをまとめましたので、参考にして頂ければ幸いです。

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2.CM(コンストラクション・マネジメント)方式

もともとアメリカで広く活用されている建設システムのひとつですが、

この方式では、コンストラクション・マネージャー(CMR)と呼ばれる者が、発注者(この場合は管理組合)とマネジメント契約を結び、技術的な中立性を保ちつつ、発注者に代わって、あるいは発注者を補助する形で、大規模修繕工事にかかわる各種マネジメント業務の全て又は一部を行うことになります。

具体的には、各種の工事(例えば、外壁補修、鉄部塗装、防水補修等)ごとに、ベストな業者を個別に選んで工事させ、また工程等の現場調整を行います。

メリットは、業者を各種の工事ごとに個別に選定するので、質が良くて安価な業者を選べることであり、デメリットは、工事の良し悪しが全て、CMR一人の力量に任せられていることといえます。

3.プロポーザル方式(提案力比較型)

工事について、管理組合側の要望を踏まえたうえで、見積に参加する施工会社に独自の発想による大規模修繕工事の仕様の設計と見積りを作成させ、その中から管理組合が選ぶという方式です。

管理会社や設計事務所が作成した仕様書による見積りの作成ではないため、談合などのリスクを減らすことができることがメリットになります。

なお、管理組合と施工会社の間に入るコンサルタントは、第三者性を保つため、施工会社などの選定代行・見積り依頼代行、設計業務および修繕工事の受注・あっせんは行いません。

4.まとめ

工事の取り組み方については、1の方式である責任施工方式と設計管理方式を採用する管理組合が多いのが現状です。3と4については、まだまだ事例は少ないようです。

いずれにしても、どの方式を選んでも一長一短はあるので、十分に時間をとって検討して頂きたいと思います。