マンション管理研究所 ウォームハート

あなたのマンションの管理業務はその費用に見合った内容で適正に実施されていますか? 当ブログはマンション管理のセカンド・オピニオン”マンション管理士”の活用を推進するブログです。マンション管理士が”Warm Heart”なマンション管理をご提案します。

水災補償を考える

毎年のように日本各地で発生する自然災害、つい先日も朝倉、日田を中心とする豪雨災害が発生してしまいました。三連水車や川沿いの露天風呂など、かつて何度も訪れた町が土砂に覆われてしまい本当に悲しいかぎりです。もちろん一番つらくて悲しい思いをされているのは現地の方々です。一日も早い復旧と復興を願うばかりです。

 今回はマンション保険における水災補償を考えてみたいと思います。

1⃣ 日本の気候変動と増加する豪雨

・日本の年平均気温は、100年あたり 1.19℃ の割合で上昇している。

1.19℃といってもピンとはきませんが、今年の暑さ、ゴールデンウィークの頃から暑かったような気がしますが、特に7月に入ってからの暑さは異常ですよね。

 ◎日本の年平均気温の経年変化(出典:気象庁資料)

「日本の気候変動と水害 内閣府」の画像検索結果

   ※細線(青)は各観測点での年平均気温の基準値からの偏差を平均した値
    太線(青)は偏差の5年移動平均、直線(赤)は長期的な傾向を示す。

・猛烈な雨(1時間降水量80mm以上の雨)の年間発生回数が増加傾向にある。

今年の豪雨も「平成29年九州北部豪雨」と名前が付けられるのでしょうが、ここ数年九州北部豪雨は何度も起こっています。最近では5年前の「平成24年九州北部豪雨」、そして8年前の「平成21年九州北部豪雨」。8年前の豪雨は私の記憶に今でも生々しく残っています。朝から降り続いていた雨は、昼過ぎからより激しくなり、社用車でマンションの巡回に出ていた私は、ちょうど福岡空港付近で1時間雨量116mmの豪雨に遭遇していました。福岡空港周辺は低地であっという間に道路が川のようになってしまい、前方を走っていた少し車高の低い外車は、マフラーから雨水が入り白煙を上げていました。ほんとに身の危険を感じたのはあの時が初めてでした。

今回の朝倉・日田豪雨は100mm以上の雨が数時間続いたということなので、その恐怖は想像を絶するものがあります。

 ◎1時間降水量80mm以上の年間発生回数(出典:気象庁資料)

f:id:deepseacruise:20170714123811p:plain

 ※棒グラフは年々の値、折れ線は5年移動平均値、直線は期間にわたる変化傾向。

 ・近年の主な水害、土砂災害

平成26年8月:

広島市で1時間降水量101mmを記録。安佐南区などで土砂災害

平成27年9月:

台風・前線の影響で西から北日本の広い範囲で大雨。茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、約40平方キロが浸水。

平成28年8月:

台風10号が岩手県に上陸し、小本川が氾濫しグループホーム流入

2⃣ 火災保険の水災で補償される場合

台風、暴風雨、集中豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れなどにより、建物や家財が損害を受けた場合、それを補償するのは火災保険の中の「水災」補償になります。

災害の種類 補償範囲
洪水 台風、暴風雨などにより河川の水量が急激に増加して発生した洪水や、融雪による洪水での被害を補償。
ゲリラ豪雨などにより排水が追い付かず床上浸水となった被害も含む。
高潮(たかしお) 台風や発達した低気圧などにより海水面が普段より著しく上昇することにより、
防波堤などを超えて海水が流れ込み、浸水被害を受けた場合に補償
土砂崩れ 大雨や集中豪雨などにより、山の斜面や崖などの土砂が崩れ落ちる被害を補償。
川底の土砂や泥が一気に流される土石流も含む

一般的な火災保険では、下記のような支払条件となっています。
ただし、保険会社によって支払条件が異なる可能性がありますので、加入前に確認しておくことが重要です。
  ・建物、家財それぞれ保険価額※の30%以上の損害を受けた場合
  ・床上浸水または地盤面から45㎝を超えて浸水した場合
    ※保険価額・・・保険の対象がいくらの価値があるか評価した金額のことです。

3⃣ 火災保険の水災で補償されない場合

地震が原因による津波・土砂災害による被害
 平成23年東日本大震災では、津波により多くの人命が失われ、家屋も甚大な被害を受けました。津波も水に関する自然災害ですが、地震が原因で起こる津波や土砂災害による家屋・家財の被害は、火災保険では補償されません。地震が原因で起こる津波の被害に備えるためには、火災保険に付帯して地震保険にも加入する必要があります。

②水ぬれ・漏水による被害
 火災保険の「水災」と混同されがちなのが「水ぬれ」による被害です。給排水設備の事故による水ぬれや漏水、マンションの上の階からの水ぬれで、自分の家屋や家財が被害を受けたような場合は「水ぬれ」の補償が対象になります。自然災害による損害が補償対象である「水災」ではないので注意が必要です。

③風・雹(ひょう)・雪による被害
 自然災害でも、台風や暴風雨などが原因でガラスが割れたり、家屋が破損したりといった被害は「風災」の補償の対象となります。また、雹(ひょう)や大雪が原因で屋根や雨どいが破損した、というような被害の場合は「雹(ひょう)災・雪災」の補償が対象となります。これらの自然災害による損害も「水災」の補償範囲ではありません。

このように、水による被害ひとつとっても、火災保険で補償を受けられるのか、どの補償範囲から保険金が出るのか、意外と把握していないものです。住宅総合保険などのオールインタイプの火災保険では、火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災に加え、水災、水ぬれ、盗難等も幅広く補償していますが、必要な補償を選んで加入できる火災保険もあります。

4⃣ 水災補償を付けるか? 外すか?

 水災の補償を外す場合、水災がどのような場合を補償するのか、内容をよく確認する必要があります。また、市街地にあるマンションの場合、高層階なら浸水被害の影響は少ないと考えられますが、河川や海、山の近くにあるマンションや低層階にお住まいの場合、被害を受ける可能性がないか自治体が発表しているハザードマップで居住地域が危険地域に入ってないか確認しておくことも必要がです。

 ※ハザードマップは、洪水、土砂災害、高潮(たかしお)などの自然災害の種類ごとに作成されています。

5⃣ まとめ

 最近の火災保険は、各社共通の商品が徐々に減り、独自性を出した保険商品が中心になっています。中でも水災は保険金の支払い基準が「床上浸水」「地盤面から45cm以上」「価額の30%以上の損害」など細かく規定され、各社で異なる部分があります。また、被害を時価で時価で支払うのか、新価(再調達価額)で支払うのかなども契約によって異なるため、十分な検討が必要です。

 また、火災保険を検討するとき、水災補償が最も付け外しの判断をしやすい部分でもあり、最も保険料の節約につながる部分でもありますが、水災を外しても大丈夫なのか、建物の立地条件や構造などを考慮の上、よく考えて加入しましょう。...end