マンション管理研究所 ウォームハート

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住宅宿泊事業法の制定に伴うマンション標準管理規約の改正案について

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現在、国土交通省は、住宅宿泊事業法の成立に伴い、マンション標準管理規約改正(案)に関するパブリックコメント(*1)を募集しています。

     募集期間:平成28年6月19日から7月18日まで

(*1)パブリックコメントとは、公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、広く公に(=パブリック)に、意見・情報・改善案など(=コメント)を求める手続をいう。公的な機関が規則などを定める前に、その影響が及ぶ対象者などの意見を事前に聴取し、その結果を反映させることによって、よりよい行政を目指すものである。

そこで今回は、改正案をご紹介します。

なお、あくまで「案」であり、今後、パブリックコメントを踏まえ、夏ごろに正式決定・通知される予定です。

1.改正案のポイント

〇標準管理規約第12条(専有部分の用途)に、住宅宿泊事業を可能とするか、禁止にするか明記する。

〇住宅宿泊事業を可能とする場合、コメントにおいて

   ・さらに、家主居住型と家主同居型に分類する。

   ・管理組合への届出を求める。

   ・標識の取扱いを使用細則で明確化する。

〇住宅宿泊事業を禁止する場合、コメントにおいて、広告掲載等による募集又は勧誘も禁止する。

2.「標準管理規約第12条」の改正案

現行の標準管理規約第12条

(専有部分の用途)

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

・・・基本的にこの条文だけで旅館業法上の民泊はできないものと解されています。また、住宅宿泊事業法上の民泊(住宅宿泊事業)とは、旅館業許可を受けて旅館業を営む者以外の者が、宿泊料を受け取って、人を住宅に宿泊させる事業であって、年間の宿泊日数が180日を超えないものをいいます。

改正案

 改正案は、住宅宿泊事業を可能とするか、禁止かを明記することが望ましいとして、可能案と禁止案の双方を例示しています。

ア)住宅宿泊事業を可能とする場合

(専有部分の用途)

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

イ)住宅宿泊事業を禁止する場合

(専有部分の用途)

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

3.「標準管理規約コメント」の追記

「標準管理規約コメント」は条文に関する解説や留意事項などが記載されていますが、今回の改正案では、住宅宿泊事業に関して追記されています。

(1)第12条関係コメント②を追記(住宅宿泊事業の可否)

第12条関係コメント②

 住宅宿泊事業法第2条第3項に規定する住宅宿泊事業については、第2項のように、可能か禁止かを明記することが望ましい。

 また、旅館業法第3条第3項の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。

 旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨である。

 さらに、「区分所有者は、その専有部分を、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う用途に供してはならない。」のような規定を置くこともあり得る。

(2)第12条関係コメント③を追記(家主居住型又は家主同居型のみの場合の規定)

第12条関係コメント③

 マンションによっては、一定の態様の住宅宿泊事業のみを可能とすることも考えられ、その場合は規約に明記すべきである。多数の区分所有者等による共同生活の場であり、その共同生活の維持のための法的手段が区分所有法上特に設けられているというマンションの特性に鑑みれば、

 個別のマンションの事情によっては、例えば、住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民である等のいわゆる家主居住型の住宅宿泊事業に限り可能とするケースも考えられる。

<いわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のみ可能とする場合の例>

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合又は同じ建物内にある場合に限る。)に使用することができる。

  さらに、個別のマンションの事情によっては、このようないわゆる家主居住型の住宅宿泊事業のうち、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合(いわゆる家主同居型に限り可能とするケースも考えられる。

<いわゆる家主同居型のみ可能とする場合の例>

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業(同法第11条第1項2号に該当しないもので、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する専有部分と同法第2条第5項の届出住宅が同一の場合に限る。)に使用することができる。

(3)第12条関係コメント④を追記(広告掲載の禁止)

第12条関係コメント④

 住宅宿泊事業を禁止する場合において、住宅宿泊事業の実施そのものだけでなく、さらに、その前段階の広告掲載等をも禁止する旨を明確に規定するため、「区分所有者は、前2項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集又は勧誘を行ってはならない」のような規定を置くこともあり得る。

(4)第15条関係コメント⑤を追記(駐車場使用契約の取扱い)

第15条関係コメント⑤

 第3項は、家主同居型の住宅宿泊事業を実施する場合は、対象としていないと考えられる。(専有部分を貸与しても、駐車場使用契約は効力を失わない。)

※標準管理規約第15条第3項

(駐車場の使用)

第15条第3項 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。

(5)第18条関係コメント④を追記(標識の取扱い)

第18条関係コメント④

 第12条において住宅宿泊事業を可能とする場合は、必要に応じ、住宅宿泊事業法第13条に基づき掲げなければならないこととされている標識の取扱いについて、あらかじめ使用細則において明確化しておくことが望ましい。

※標準管理規約第18条

(使用細則)
第18条 対象物件の使用については、別に使用細則を定めるものとする。

(6)第19条関係コメント④を追記(管理組合への届出)

第19条関係コメント④

 第12条において住宅宿泊事業を可能とする場合は、管理組合が事業開始を把握することがトラブル防止に資すると考えられるため、例えば、「区分所有者は、その専有部分において住宅宿泊事業法第2条第3項の住宅宿泊事業を実施することを内容とする、同法第3条第1項の届出を行った場合は、遅滞なく、その旨を管理組合に届け出なければならない」等と規約に定めることも有効である。また、宿泊者等からの誓約書につい
ては提出義務を免除する旨を定めることも考えられる。

※標準管理規約第19条

(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。

2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。