マンション管理研究所 ウォームハート

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管理組合の収益事業と税金

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個人でも会社でも、収入を得たら税金を払わなければなりません。

管理組合も何らかの収入を得たら税金を払う必要があります。これまでは管理組合が収入を得ても、(税務当局にとって)あまり目立たない存在だったため、追徴課税されることはほとんどありませんでしたが、現在ではそうはいきません。

なお、税金の時効は5年(脱税の意図がある場合は7年)であるため、収益事業を以前から行っていた場合は過年度分も併せて申告しなければなりません。無申告の場合は5%~20%の加算税の支払いに加え、過去5年分を一括納付しなければならないことがあるので十分に注意が必要です。

今回は、管理組合の税務に関する基本的な知識をまとめてみました。

1.管理組合の組織形態

管理組合には2つの形態があり、法人格のない組織形態である「管理組合・団地管理組合」と、法人格がある組織形態である「管理組合法人・団地管理組合法人」があります。

また、法人税法上の扱いでは、法人格のない組織形態は「人格のない社団等」となり、法人格のある組織形態は「公益法人等(みなし規定)」となります。

  • 法人格のない組織形態 ⇨ 管理組合、団地管理組合 ⇨ 人格のない社団
  • 法人格がある組織形態 ⇨ 管理組合法人、団地管理組合法人 ⇨ 公益法人

2.法人税の課税対象の範囲

管理組合の本業である共済的事業(*1)に関しては、共通費用を組合員が分担して負担するにすぎないので、非収益事業となり法人税は課されないが、それ以外の収益事業(*2)については法人税が課されます。

  • 共済的事業 ⇨ 非課税
  • 収益事業  ⇨ 課税

(*1)共済的事業・・・組合員から徴収した管理費・修繕積立金等により、組合員に共通する利益を図るための事業。

3.収益事業

収益事業の対象となる事業とは、法人税法で規定される34種類に該当するもので、継続して事業場を設けて営まれるものです。

34種類の事業のうち、管理組合が行う収益事業の例としては以下のものがあります。

  • 物品販売業   ⇨  飲料の自動販売
  • 物品貸付業   ⇨  カーシェアリング、自転車レンタル
  • 不動産貸付業  ⇨  携帯基地局、広告看板、電柱
  • 製造業     ⇨  太陽光発電パネル
  • 駐車場業    ⇨  駐車場賃貸
  • 遊技所業    ⇨  フィットネスルーム、プール
  • 旅館業法    ⇨  ゲストルーム、簡易宿所

※駐車場賃貸は本来は収益事業となりますが、マンション管理組合の組合員である区分所有者を対象とするものは、共済的事業として非課税になります。ただし、区分所有者以外の利用者がいる場合は、その募集方法と利用条件によっては収益事業と判断される場合があるため注意が必要です。

4.課税所得の計算

課税所得の計算は以下のように行います。

    利益(課税所得) = 収益事業の収益 ー 必要経費

つまり、収入から経費を差し引いた額が課税対象となります。

ここで難しいのは、何が経費になるのかについてであり、これは専門家である税理士に相談することをお勧めします。

5.消費税について

消費税の課税対象となる取引は、以下の4つの要件を満たす取引です。

  ① 国内の取引であること

  ② 事業者が事業として行う取引であること

  ③ 対価を得て行う取引であること

  ④ 資産の譲渡・貸付、役務の提供であること

マンションの区分所有者から徴収する管理費や修繕積立金は、上記4つの要件を満たさず「不課税取引」とされているため課税対象にはなりません。

なお、管理組合が組合員以外の外部者に駐車場を賃貸して収入を得る場合は、消費税の課税対象となります。

また、消費税の納税義務は、基準期間(前々年度の事業年度)の売上げが1,000万円を超えた場合に発生します。1,000万円を超えなければ消費税の納税義務はありません。

6.収益事業判定に関する国税庁の質疑応答事例抜粋

(1)団地管理組合等が行う駐車場の収益事業判定

【照会要旨】

団地管理組合又は団地管理組合法人(以下「管理組合」とする。)が、その業務の一環として、その区分所有者(入居者)を対象として行っている駐車場業は、収益事業に該当するか?

(事業の概要)

・駐車場業は、その区分所有者を対象として行われている。

・駐車場の敷地は、その区分所有者が所有している。

・その収入は、通常の管理費等と区分することなく、一体として運用されている。

・駐車料金は、付近の駐車場と比較し低額である。

【回答要旨】

照会の事実関係を前提とする限り、収益事業に該当しない。

(理由)

・管理組合という地域自治会が、その自治会の構成員を対象として行う共済的な事業であること。

・駐車料金は、区分所有者が所有している共有物たる駐車場の敷地を特別に利用したことによる「管理費の割増金」と考えられること。

・その収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において運営費又は修繕積立金の一部に充当されていること。

団地管理組合等が行う駐車場の収益事業判定|法人税目次一覧|国税庁

(2)マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定

【照会要旨】

Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で、携帯電話基地局(アンテナ)設置のためにマンション屋上(共用部分)の使用を目的として建物賃貸借契約を締結した。Aマンション管理組合は、今後、マンション屋上の使用の対価として賃料収入を得ることになるが、この賃料収入は法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当するか?

なお、Aマンション管理組合は、法人税法上、人格のない社団等又は公益法人等に該当することを前提とする。

【回答要旨】

収益事業たる不動産貸付業に該当する。

(理由)

人格のない社団等及び公益法人等の課税関係

法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含む)に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することとされている。ただし、人格のない社団等及び公益法人等に対しては、各事業年度の所得のうち、収益事業から生じた所得以外の所得には法人税を課さないとされている。

したがって、マンション管理組合人格のない社団等又は公益法人等)に対する法人税は、収益事業から生じた所得のみ課されることになる。

・収益事業の範囲

法人税法上の収益事業とは、一定の事業で継続して事業場を設けて行われるものをいい、この一定の事業には不動産貸付業が含まれる。

したがって、マンション管理組合が賃貸借契約に基づいて、マンションの一部を他の者に使用させ、その対価を得た場合には、収益事業(不動産貸付業)に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになる。

・本照会について

Aマンション管理組合は、移動体通信業者Xとの間で建物賃貸借契約を締結し、当該契約に基づいてマンションの屋上の一部を使用させ、その設置料収入を得ているので、当該行為は不動産貸付業に該当する。

マンション管理組合が携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定|法人税目次一覧|国税庁

(3)マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定

【照会の経緯】

昨今のマンション事情として、マンションに設置された駐車場の利用者が減少し、空き駐車場が生ずるケースが増加しているところであり、マンション管理組合から、空き駐車場の有効利用につき相談が寄せられるケースが増加してきている。

空き駐車場の有効利用に関して寄せられる相談の一つとして、空き駐車場を区分所有者以外の者への使用を認めた場合(外部使用)の課税関係がある。

そこで、区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合のマンション管理組合に係る課税関係を整理したく、本件の照会を行うに至った。

【照会要旨】

マンション駐車場の区分所有者以外の者の使用(以下「外部使用」という。)といっても、空き駐車場の場所、台数、使用可能期間といった駐車場の空き状況は個々のマンションごとに異なるので、駐車場の外部使用についても、その状況に応じた募集方法や契約内容によることになる。
 このため、本件の照会においては、いくつかのモデルケース(ケース1~3)を示し、そのモデルケースに対する法人税の課税関係が次の①から③までのとおりとなると解して差し支えないか、照会する。

※前提として、各ケースのマンションの管理規約が以下のとおりであるとする。

・外部使用が可能となっていること。

・駐車場の外部使用に係る収益はマンション管理費又は修繕積立金に充当すること(区分所有者に分配しないこと)。

・特に記載していない事項については標準管理規約どおりであること。

 ケース1:Aマンション

Aマンションにおいては、恒常的に相当な台数分の空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「A組合」という。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明した。

仮に、この状態が継続し、現行の管理費等(駐車場使用料、管理費及び修繕積立金をいう。)の金額を増額することなく維持すれば、管理費又は修繕積立金が不足することは明らかなため、A組合では駐車場の外部使用を行うことになった。

この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者と外部者とを分けずに広く行い、使用は区分所有者であるかどうかを問わず申込み順とし、使用料や使用期間などの使用条件についても区分所有者と同様の条件とした。

したがって、外部使用を行うことにより空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があった場合でも、外部使用を受けている者に対して早期退去を求めるようなことはない。

① 駐車場の使用については、外部使用部分だけでなく、区分所有者の使用も含め、そのすべてが収益事業に該当する。

 ケース2:Bマンション

Bマンションにおいても、恒常的に空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「B組合」という。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明した。

このため、Aマンションと同様に、Bマンションにおいても駐車場の外部使用を行うことになった。

この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者とは別に外部に対しても広く行うが、あくまで区分所有者のための駐車場であることから、外部使用に当たっては、区分所有者を優先する条件を設定した。

具体的には、区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、外部使用により空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったときには、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないという条件とした。

② 駐車場の使用については、外部使用部分のみが収益事業に該当する。

 ケース3:Cマンション

Cマンションにおいては、区分所有者の異動により空き駐車場が生じることになったが、他の区分所有者の中には使用希望者がいないため、区分所有者から使用希望者が現れるまでの間、空き駐車場の状態にしておく予定だった。

この度、近隣で道路工事を行っている土木業者から、マンション管理組合(以下「C組合」という。)に対して、工事期間(約2週間)に限定して空き駐車場を使用したいとの申出があった。

これを受けて、C組合で検討した結果、短期間であり、区分所有者の利用の妨げにならないと考えられることから、これに応ずることにした。

③ 駐車場の使用については、区分所有者への使用のみならず、外部使用部分も含め、そのすべてが収益事業に該当しない。

 【理由】(照会者の求める見解となることの根拠)

ケース1:Aマンション

A組合が行う外部使用は、募集は外部に対しても広く行い外部使用の条件も区分所有者に対するものと同様の条件とすることにしている。また、外部使用を行っている状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったとしても、外部使用を受けている者に対して早期明け渡しを求めない。

これらのことからすれば、区分所有者に対する優先性がまったく見られず、Aマンションの敷地内にあるものの、管理業務の一環としての「共済的事業」とは認められず、市中の有料駐車場と同様の駐車場業を行っているものと考えられる。

したがって、ケース1の場合には、区分所有者に対する使用と区分所有者以外の者に対する使用を区分することなく、その全体が収益事業たる駐車場業に該当することになると考える。

 ケース2:Bマンション

B組合が行う外部使用についても、募集は外部に対しても広く行うことにしている。

しかしながら、区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、また、外部使用を行っている状態で区分所有者から駐車場の使用希望があった場合には、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないといった区分所有者を優先する条件を設定することにしている。

これらのことからすれば、B組合が行う駐車場使用には、区分所有者に対する一定の優先性が見られることから、少なくとも区分所有者の使用に限れば、管理業務の一環としての「共済的事業」であり、収益事業たる「駐車場業」には該当しないと考えられる。

次に、区分所有者以外の者に対する外部使用については、「共済的事業」とは別に、異なる独立した事業を行っていると考えることが相当であり、「駐車場業」として収益事業に該当することになると考える。

 ケース3:Cマンション

C組合が行う外部使用は、そもそも積極的にC組合が外部使用を行おうとしたわけではなく、相手方(区分所有者以外の者)の申出に応じたものであり、また、区分所有者の利用の妨げにならない範囲内で、ごく短期的に行うものなので、区分所有者に対する使用とは異なる独立した事業とすべき事情も存在しない。

したがって、C組合が行う外部使用は、管理業務の一環としての「共済的事業」である区分所有者に対する駐車場使用と一体的に行っているものと考えらる。

次に、一体的に行っている事業(管理業務)における収入の一部が区分所有者以外の者からの収入(外部使用による駐車場収入)であることをもって、その事業全体が収益事業である駐車場業に該当するかどうかについて検討する。

この点、収益事業の範囲については、収益事業には「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。」とされていることからすれば、収益事業に該当しない事業にも「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。」と整理することができる。

したがって、C組合が行う外部使用については、管理業務の一環として行われている区分所有者に対する駐車場使用に付随して行われる行為であることから、この外部使用を含めたC組合が行う駐車場使用の全体が収益事業には該当しないものと解して差し支えないと考える。

マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)|法人税|国税庁