マンション管理研究所 ウォームハート

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不在組合員に対する組合運営協力金について

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不在組合員(マンション外に居住する組合員)に対して、管理費以外に組合運営のための協力金を徴収することについては、その必要性があり、かつ、合理的な範囲内であれば可能であるとされています。(最高裁判決:平成22年1月26日)

したがって、協力金の徴収は「その必要性かつ合理的な範囲」という条件が必要になりますが、今回は最高裁判決から協力金の徴収条件について考えてみたいと思います。

1.管理費等の徴収根拠

区分所有者(組合員)は、管理組合に対して、共用部分を管理するための管理費や修繕積立金を納入しなければなりません。

これは、区分所有法19条において、

「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」

とされていることから、管理費・修繕積立金の支払義務が各区分所有者に生じ、管理組合が徴収することができるのです。

さらに、標準管理規約25条は、「区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、管理費等(管理費、修繕積立金)を管理組合に納入しなければならない。」と定め、徴収根拠を明確にしています。

したがって、協力金を徴収するには、新たに「協力金を徴収することができる」旨を管理規約に定める必要があるということになります。

2.管理規約の設定

協力金を徴収するにはその旨を管理規約に定める必要がありますが、区分所有法31条1項後段には「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」との規定があります。

協力金を徴収する旨の規約が「一部の区分所有者(不在組合員)の権利に特別の影響を及ぼす」か否かについては、管理組合の構成や規模、不在組合員の状況(戸数や組合活動への係わり方等)、管理費等の額等さまざまな条件により変わります。

したがって、最高裁判決があるからといって、どのような場合でも協力金の徴収が認められるものではないということです。

3.最高裁判決(平成22年1月26日)の事例

当該マンションは昭和40年頃に分譲された大規模マンション(4棟、868戸)で、管理組合の役員は「居住組合員の中から選任する」と管理規約に定められていました。

マンションは分譲後20年を経過した頃から、空室や賃貸に出されている部屋が増え、平成16年頃には約180戸(約20%)となっていました。そのために、居住組合員の中から、不在組合員は役員に就任せず、管理組合の運営の負担は居住組合員にのみにかかっているとの不満が出るようになりました。

このため平成16年3月に、総会で管理規約を変更し、不在組合員だけに「住民活動協力金」という名目で金銭負担を課することを決めました。管理費等は月額17,500円(管理費8,500円、修繕積立金9,000円)であり、住民活動協力金は、これに月額 2,500円を上乗せするものでした。

これに不在組合員の一部が、この規約変更は一部の区分所有者の権利に「特別の影響」を及ぼすから、不在組合員全員の承諾がなければ無効だとして住民活動協力金の支払を拒んだため、管理組合が支払いを求めて訴訟になったものです。

4.最高裁判決の判旨

・本件マンションは、規模が大きく、その保守管理や良好な住環境の維持には管理組合及びその業務を分掌する各種団体の活動やそれに対する組合員の協力が必要不可欠である。

・本件マンションでは、不在組合員が増加し、総戸数868戸中約170戸ないし180戸が不在組合員の所有する専有部分となっている。

・不在組合員は、管理組合の規約上、その役員になることができず、役員になる義務を免れているだけでなく、実際にも、管理組合の活動について日常的な労務の提供をするなどの貢献をしてない。

・一方で、居住組合員だけが管理組合の役員に就任し、上記の各種団体の活動に参加する等の貢献をして、不在組合員を含む組合員全員のために本件マンションの保守管理に努め、良好な住環境の維持を図っている。不在組合員は、その利益のみを享受している状況にあったということができる

・本件規約変更により不在組合員が受ける不利益は、月額2,500円の住民活動協力金の支払義務の負担であるが、組合費と住民活動協力金とを合計した不在組合員の金銭的負担は、居住組合員が負担する管理費、修繕積立金が月額17,500円であるのに対し、その約15%増しの月額20,000円にすぎない。

・不利益を受ける多数の不在組合員のうち、住民活動協力金の趣旨に反対してその支払を拒んでいるのは、不在組合員が所有する専有部分約180戸のうち12戸を所有する5名の不在組合員にすぎない。

結論

上記のような本件規約変更の必要性及び合理性と不在組合員が受ける不利益の程度を比較衡量し、本件規約変更は、住民活動協力金の額も含め、不在組合員において受忍すべき限度を超えるとまではいうことができず、本件規約変更は、区分所有法31条1項後段にいう『一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき』に該当しない。

5.まとめ

協力金徴収(規約変更)の必要性とは

管理組合を運営するにあたり必要となる業務や費用は、本来、その構成員である組合員全員が平等にこれを負担すべきものであるところ、規約上、役員になれない不在組合員が増加(全組合員の約20%)し、居住組合員のみでマンションの保守管理に努め、良好な住環境の維持を行わなければならないという不公平を是正する必要がある。

➡不在組合員の増加

合理的な範囲とは

協力金の額は、通常負担すべき管理費等の額(17,500円)の15%増しにすぎず、不在居住者の受忍限度を超えるものではない。

➡協力金の額は管理費等の額の15%増まで

◇役員のなりて不足は、現在のマンション管理組合の大きな問題のひとつです。かつての標準管理規約(平成23年改正前)では、役員になる資格として、組合員要件に加え、マンションに現に居住すること(居住要件)を必要としていましたが、平成23年改正で居住要件を撤廃(平成28年改正ではさらに組合員要件も撤廃)しました。居住要件を撤廃し、外部組合員が管理組合活動に参加できるようになると、協力金の徴収は難しくなると思われますが、高齢化などにより居住組合員であっても組合活動に参加できなくなる状況もあるため、今後、さらに役員のなりて不足問題は深刻化していくことになるでしょう。